EXストーリー7
───しばらく歩いていると、それは樹海全体を響かせるような地鳴り。木々の茂みからは小鳥の群れが一斉に飛び立ち、苔を生やした地面は割れる音を立て、神々の怒りの如く隆起する。
パキパキと、辺りの木々を巨大な無数の触手を伸ばしてなぎ倒し、そいつは現れる。
「モンスター生態調査員の報告にあった、例の巨大モンスターか?」
アレックスはロングソードを抜き、目の前に現れた巨大モンスターを睨む。
───巨大モンスターは無数の牙を生やした大きな口をガバッと開き、だ液を撒き散らしながら咆哮を響かせる。モンスターの名前は(グリーンテンタクルス)、10メートルの全長に緑色のヌメリとした無数の触感とギョロッとした眼。そして極めつけは、粘液を湿らせたニョキニョキと無数の太い触手。
「何か、ヤバい見た目のモンスターだな?」
アレックスは言う。
「気をつけて下さい、調査員によれば、奴から放たれる息が厄介です」
デビッドは杖を構え、真剣な表情で体勢を整える。
「厄介な奴でも、異変の時に戦ったアレよりマシだ。負ける気はしないぜっ」
サウルは手作り爆弾をバックから取り出し、片手で構える。ちなみに炎属性、経験から推測すると森林に出現するモンスターは大半は炎に弱い。
「ヨハーソン家専属執事ロメロ、助太刀させてもらいます」
パンツ一丁状態のロメロは両拳を構える。
「私も、戦いますっ」
ミリアもショートソードを片手で構える。スタイルはショートソードによる軽快な剣術と、魔導術を兼用して戦うスタイルだ。
「ミリア、あまり前に出過ぎるなよ。戦いってのは1人でやるんじゃない、チームで協力するんだ」
「はい、アレックスさんっ」
ミリアは返事した。
「ついでに私も、サポートではありますが、頑張ります」と、絵葉は光の球に変身し、フワフワと浮遊する。
「小さな翼も、戦うっ」
小さな翼は飛竜に変身し、翼をバサバサと羽ばたかせる。
(うん、みんな良い目をしている………。けど、あのモンスターは何処かで見た事あるような?)
確か、某国民的RPGに出てくるアレに。主にくさい息をぶはぁ〜と吐いて、凄い状態にしてくるアレだ。と、アンゼシカ(真美)は思うのである。
一方の私(真美)?、それは木の上に立って皆の様子を観察しているのだ。あまり私が出しゃばればミリアさんの成長の為にはならないから、もしピンチになれば助太刀するのが私の役目である。
バレてない、バレてない………あの後、ミリアさんを撒くのを苦労したものだ………。と、アンゼシカ(真美)は胸を撫で下ろす。見つからなくて、よかった。




