EXストーリー1
クロフォード王国、場所は城の謁見の間。真紅のカーペットが一直線に伸び、そこに1人の将軍が駆け付ける。
「王国の状況はどうなっている?」
玉座に腰掛ける陛下代理は尋ねる。陛下代理の名はアンゼシカ・ヨハーソン。
「はい、陛下代理が命令した民族支配政策、物資徴収と徴兵制の廃案と税制改革、そして共和国への戦争中止により、国内は落ち着きを取り戻しつつあります」
将軍は答えた。名はメルディ・ディアス。かつて反民族支配主義として、王国と戦ったテロ組織の工作員だった。
「そうか………」と、ほっと撫で下ろしアンゼシカ。そして思い詰める。
アンゼシカの様子に、メルディは尋ねる。
「やはり、心配でございますか?」
「当たり前だ、私にとってミリア様は恩人なんだ。私のような、血で汚れた人間を命懸けて救って頂いたのだ。あの方には、感謝は仕切れない………」
アンゼシカは言った。彼女はこのクロフォード王国を、代々王国家から彼女の代まで取り憑いてきた悪魔から救う為、玉座に就いた王女ミリアを追放し、彼女の代わりに悪魔を自身の心に取り憑かせ、独裁者として王国中の民族、宗教、伝統派の人達を弾圧し、粛清してきた。
「あの異変収束後、彼女はアナタの信頼を回復させる為に尽力して、そして今は北西にある火山地帯に開拓活動に赴いているのですよね?」
「そうだ、私は心配で心配で仕方ない………」
アンゼシカは言った。彼女にとって、ミリア様は小さい頃から見てきた妹のような存在である。
「フフフ………」
アンゼシカ陛下代理の様子に、メルディ将軍は微笑む。
「何が可笑しい?」
アンゼシカは問う。
「いえ、アナタと私、かつては殺し合っていたのに、こうして国に仕えていると思うと、運命とは奇妙だな。って思いまして………」
メルディ将軍は言った。
「そうだな、こうして巡り合えたのも、ミリア様が動いてくれたおかげなんだ。全ての裏に、彼女がいる。彼女こそ、王国にとって英雄だ」
アンゼシカは彼女を讃える。ちなみにミリアは現場主義の性格な為、陛下代理はアンゼシカに任命し、自身は王国地質調査隊、冒険者ギルドの者達と火山地帯の開拓に赴いた。
「いかが致しましょう?。兵士を派遣しますか?」
メルディ将軍は意見を問う。
「しかし………ミリア様は兵士は派遣するなと言われているしな………」
ミリアの身に、渋い表情で悩むアンゼシカ陛下代理。
するとメルディ将軍は言う。
「彼女なら、大丈夫だと思います。何故なら彼女は王国を、アナタを救った実力があり、修羅場を乗り越えてきました。心配は無用かと………」




