後日談 おまけ47
それから………数日後。
ミリアは故郷であるクロフォード王国に帰る事にした。あくまでも自分の意思で、それを伝えたメルディには大変、喜んでくれたが………。色々とあったマイキー公国とアレクサンドル帝国に別れを告げ、公国北部の港湾に停泊している王国軍の船に乗り、故郷に帰る。
★★★★★★
帰りの船の中、場所は重役用の客室。真紅の絨毯が敷かれ、金の装飾が施された鏡台と衣類棚にカーテン付きのベッド。ミリアはマイキー公国とアレクサンドル帝国で起こった色々な修羅場を名残惜しい様子で窓に映る海景色を眺める。
───ゆらゆらと………波風に揺られ、天井を吊るされるシャンデリアはキシキシと細かい音を立て、客室は退屈で静寂な時間。しかし、ミリアにとってはそれは身を削るような時間である。
ミリアはため息を吐くように声を出す。
「本当に、色々あったわね………」
ミリアは窓から外を眺め、青空が広げる海上を飛び交うカモメの群れを数えて黄昏れる。
するとガチャ………と、客室のドアが開き。
「ミリアさん」
部屋に入って来たのはマスク・ド・a。正体はアンゼシカ(真美)。
「マスク・ド・a様………」
ミリアは視線を向ける。いつものデレデレな様子ではなく、寂しく、そして少ししんみりした様子。
「少し元気がないね?やはり、君はまだ滞在したかったのかい?」
アンゼシカ(真美)は近寄り、気兼ねなく尋ねる。その質問にミリアは腕を組み、悩みながら。
「う~〜ん………まだいたかっと言えば………いたかったですね。けど、やる事が無くなったのでとりあえず帰る事にしました」
ミリアは言った。
「ハハハハ、そうかい。そうかい………」
アンゼシカ(真美)はポリポリと頬を掻き、困惑したかのような様子で返す。やることが無くなったって………女王陛下としては、ずいぶんと気分屋なんだな。と………。
「あのメガネ娘はどこ行ったのですか?」
「うむ、絵葉なら多分、甲板の上を眺めているハズだよ。呼んで来ようかい?」
「結構です。うるさいので………」
ミリアはハッキリと言った。
「ハハハハ、そうかい………」
ミリアの言葉に、アンゼシカ(真美)はまたしても困惑しながらも頷く。ま、あの子がここに来たら何かしらといざこざになるからな………。またには2人で静かな方がいいかな。
2人は他愛もない会話でクスクスと笑って盛り上がる。内容は初めて出会った事、王国で活躍した修羅場の話や………あとは王国にいる仲間、アレックスやデビッド、サウルやロメロ、小さな翼など。彼等は今頃、どうしているかなぁ~~と、思い浮かべるのである。




