第43話 動き出す陰謀
───〈とある海域〉───
時刻は深夜。雲のない夜空の星、三日月が海域全域を支配するように照らし、波の音が響かせる。そして海上には………1体、2体、3体、4体、5体のクラーケンの死骸がプカプカと浮いている。
頭部、触手がスパッと切断され、黒い墨が海上一帯に広がっている。
「暇つぶしにもなりもしないなぁ」
1隻の小舟に乗り、黒いコートを着用した男性がハルバートを担ぎ、呟く。とある筋のグループと待ち合わせをしていたのだが、途中でクラーケンの群れに遭遇してしまい、暇つぶしに相手をしていただけである。
───遅くなって申し訳ありません………。
女性の声、1隻の大型客船が男性の元に到着。
「3分位だったかな………」
男性はハルバートを片手で担ぎ、大型客船の甲板に跳び乗る。
「1分です………遅刻した事を謝罪しましょうガレットさん」
三日月の光に照らされ、黒いコートを着用した女性は言った。
「1分くらい、それより動きはどうだ?」
男性は尋ねる。名はガレット・バーンズ。
「今の所、政府による民族支配はストップしている状態だ。一方私達は同士を増やしつつある」
女性の言葉に………。
「ワタシタチ、タタカウ………。タタカイコワクナイハウソ、デモタタカウ」
ゾロゾロと現れたのはとある原住民族、彼らはババ族。政府に支配された憎しみ、怒り、悲しみを漂わせている。
人数は十数名。今は少ないが、政府に支配された民族、宗教、文化主義の人間は王国には数多くいる。
これから各民族勢力に誘いをかけ、同志を増強させるつもりだ。公開されていないが、今の王国政府は陛下不在の為、上手く政策を実施出来ない状況であり、陛下代理を用意し、最低限の政策を保っている。
「皮肉なものだな………同志が多く集まる事は良い事だが、これだけ王国政府に憎しみを抱いているだからな………」
ガレットは言った。
「それより、おかしな事がある」
「おかしな事?」
ガレットは知らない様子。
「最近、黒い聖職服の姿をしたモンスターが出現するようになっている。何か知らないか?」
「そいつらか………この前、とある牧場を襲撃した時に現れたが………そうだ、面白い事があった。この前に追放された元王国の王姫のミリアを見たな………冒険者ギルドで働いているらしい」
「姫君がギルドに?面白いな」
黒いコートの女性は笑う。
「そこそこ腕がある。それより気になったのは………いや、やめておこう。多分、君も遭遇する事もある気をつける事だな………」
ガレットは物影から匂わせる発言。
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