表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

435/556

後日談 おまけ30





 部屋にて、おぼん板に置いたジュースとクッキーのおやつを持って入ってきたお母さんは頭の上に?マークを出現させている。そして腕を組み、壁とにらめっこする体勢でベッドに背中を向けて座り、それは暗雲を立ち込めた雷のような………ピリピリとした近寄りがたいオーラを放ち、うちの娘(真美)の姿がある。


───あららら?………いったい、何があったのだろう?………と、お母様はヒソヒソと絵葉えばに耳打ちし、尋ねる。


絵葉えばちゃん。真美に何かあったの?」


「それがお母さま………」


 絵葉えばは説明………。包み隠さず正直に………彼女曰く、いつもやっている愛情表現であり、大好きなせんぱいへのスキンシップである。


(あらららら…………)


 絵葉えばから聞かされた説明に、お母さまは後ろ姿の真美を見て苦笑いをして困惑する。ちょっと気持ちが分かるような気はするけど………。


 絵葉えばは真美の後ろにスリスリと歩み寄り。


「せんぱい………」


 絵葉えばは真美に言う。自身も少し、過度なスキンシップだと反省している。


(…………)

 

 しかし、真美は背中を向けたまま沈黙する。いまだにベッドに座り、近寄りがたい雰囲気を放ち、まるで玄関先の置物のように動かない。


「この通り、ぜんぜん口を聞いてくれないのですお母さま………」


 絵葉えばいわく、聞いてくれないタイムは1分。細かく言えば1分5秒だ………。


(みじかいわね………)


 真美ママは差し入れを持った状態で困った笑みを漏らし、頬をポリポリと搔く。

 

「せんぱぁ~〜~い」


 絵葉えばはいつものようなノリで尋ねるのである。しかし真美は沈黙、何故なら頬は恥ずかしい表情でポッと赤く染め、返す言葉が出て来ない。


「真美、許してあげなさい。アナタ、一つせんぱいなんだから………」


 お母さんは言う。


 一方の真美は、少し鼻で息をしただけ。


「せんぱい、クッキーですよ?チョコ、入ってますよ?」


 絵葉えばは一枚のチョコクッキーを真美の真横に差し出す。


(チョコクッキーって、ちょっと私の好きなモノじゃない………)


 チョコクッキーに心が揺れる真美。


 そしてボリボリと………真美のま横では絵葉えばによるクッキーを食べる咀嚼の音。


 1枚、2枚、3枚………絵葉えばはチョコクッキーを食べている。


「アンタね、少し食べ過ぎ………」


 このままでは全部、大好きなチョコクッキーを食べられてしまう。と、思わず真美はクルッと振り向く。


(あらら………)


 その光景に、真美ママは言葉を失った………。何故なら振り向き際に、真美と絵葉えばがくちびる同士で合わせあっていた。1秒、2秒………部屋の空気が凍りつくのである。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ