後日談 おまけ25
それから数日後、場所はマイキー公国とアレクサンドル帝国の国境にある王国軍駐留地。西部には自然豊かな環境により、木々が広がる世界。一方の東を見渡せば荒廃とした環境による砂漠の地域を見渡せる世界。
1つの世界に、まるで2つの世界に分かれているような………そんな環境である。王国軍の駐留理由は公国と帝国、そして王国との交易ルートの陸路と海路の治安維持である。
★★★★★★
───そして駐留地にある訓練場のグラウンドにて。そこではクロフォード王国から派遣されて来た兵士達が、実践形式の白兵戦の訓練を実施し、刃を交えつつ、雄叫びを響かせる。
一方で………。
激しく刃を交え合い、そして少女は相手の一振るいの剣撃により、後退する。
「ふむ………」
アンゼシカ(真美)は腕を組み、ある訓練の光景を眺めていた。それは………。
「ハァ………ハァ………ハァ………」
額から汗を流し、生きるか死ぬかのような険しい瞳。ロングソードを片手で構えているミリアは息を荒々しく吐き、身体を震わせていた。彼女は苦戦していた、目の前の人に………。
「その程度か?王女さま?」
かつて王国を騒がせたテロ組織の幹部。今は王国軍将軍のメルディは両手にショートソードを構え、鋭い威圧感を漂わせ、そう口を開くのである。今、ミリアはメルディに手合わせをお願いし、実戦訓練の最中てある。手合わせを願った理由、それは1年前、当時テロ組織の工作員の彼女に叩きのめされ、殺されかけたからだ。そのリベンジが理由である。
アンゼシカ(真美)はその訓練の様子を眺め、少し呆れながら。
「全く、メルディは………」
そう、メルディは毎回、王国本土から女王陛下を帰還させるように依頼されている。そして決まって説得中と報告するが、上層部からはあまり良い返答がない。
「やっぱり、まだ勝てませんね………」
ミリアは残念な様子を浮かべる。自身は幾度となく、強敵を倒して来た。この前、クラーケンの大群を倒したから、勝てると思っていた。
「………まだまだ、実力が足りません………。私でよければ、いつでも相手しますよ」
メルディは冷静に言う。しかし………。
───クククククッ…………と、威圧感を漂わせつつ、本音はメルディはスッキリしたかのように笑っている。
アンゼシカ(真美)は分かる。これは、なかなか王国に帰還しないミリアに対して、そして王国の上層部に対してのストレス発散である。
(少し大人げない気がするけど………)
アンゼシカ(真美)は呆れるのだった。
「女王陛下、王国には………」
「いやですっ」
メルディの発言に、ミリアはキッパリ。
(この………)と、メルディは怒りを震わせるのだった。
そして、また手合わせの相手。その度にボコボコにするのである。
たまには王国に帰還するように願うのである………。




