後日談 おまけ24
───アンゼシカ(真美)は大通りを歩いていた。歩いている場所はアレクサンドル帝国の首都ヴァンダールで、いつも溺愛してくるミリアは、メルディに公国にある王国軍の駐留基地まで連行され、クロフォード王国で溜まっている様々な書類や礼状に目を配り、署名、公印、などの公務をしているらしい。
ミリアがいないことにアンゼシカ(真美)は少し肩の力を抜き。
(何とかひと息出来るね………)
私の名前は山瀬真美。かつて現実世界で生を受け、そして赤信号の横断歩道に誤って入り、車に衝突する事故によって死亡してゲームの世界の悪役令嬢に転生した地味なOLである。
ひょんな事からこの世界に転生して、ラスボスエンドを回避すべく、仲間達と修羅場を潜り抜け、何とかラスボスエンドを回避できた。
───そして、ひとつ気掛かりなことがある。
(そういえば………)
真美は思った。何故ならこの世界に来るとき、私はミリアにアンゼシカ・ヨハーソンにバレないようにマスク・ド・aとして変装している。そしてラストイベントの時、仲間達には正体を明かした。もちろん、最終戦にてミリアにも明かした。しかし、それなのに彼女は未だに私をマスク・ド・aとして接している。
気づいていないのか………。あの時以来、正体を明かすタイミングを失い、うやむやになった。
「何を考えているのですか?せんぱぁ~~い」
そういえば、絵葉がいた。隣で、デレデレと頬をツンツンしてくる。
「そう言えば、アンタがいたわね?」
アンゼシカ(真美)はいつものノリで言う。
「当ててあげます。せんぱいのことですから、やらしい事を考えていたのですか?」
「違うから。アンタじゃあるまいし」
「またまたぁ~~~」と、絵葉はアンゼシカ(真美)の腕を組み、デレデレしてくる。
すると………。
「見つけましたよ~~~」
この声。
何と、アンゼシカ(真美)の後ろにはミリア。
「あれ、君は?公務は?」
アンゼシカ(真美)は尋ねる。
「マスク・ド・aさまに会いたいから、すぐに片づけましたぁ~~~」
場に駆け付け、ミリアは言った。少しややこしい書状などがあり、数日間は缶詰は予感していたが、片づけたらしい。
しかもどれも書類に目を配り、テキパキと整理していた。許可出来る書類は署名し、許可が出来ない書類、確認できない書類は不認可。確認依頼などを要請し、片付けた。仕事のスピードに、メルディのため息が目に浮かぶ………。
「さて、デートしましょう。マスク・ド・aさまぁ~~~」
アンゼシカ(真美)の腕を組み、デレデレして溺愛してくるミリア。
まだまだ、私への溺愛ライフは続く。




