後日談 おまけ22
「ハァ………ハァ………ハァ………」
氷の陸地からボスクラーケンを睨み。そしてダラリとロングソードを両手で構え、ミリアは荒々しい息を整える。その様子は思わしくない、一体どうして?と、言わんばかりに。
グヲヲヲヲヲヲヲヲッ!!
ボスクラーケンは見せつけるように咆哮。身体は無傷、ダメージは見られない。
何故なら………。
「どうして?雷や氷が効かないの?」
驚愕し、ミリアの額からは冷や汗が流れ。劣勢に立たされる。疲労により、握るロングソードが手首から全身を通じて重々しい感覚が行き渡る………。戦術は氷属性から雷属性を活用いた戦術、しかし結界を張られているかのように打ち消され、ノーダメージ。
グヲヲヲヲヲヲヲッ!!
ボスクラーケンは海上から複数の巨大な触手ゲソを伸ばし、氷の陸地に向けて振り下ろす。
「マズいっ」
ミリアはジャンプして回避。振り下ろされた触手ゲソは氷の陸地を破壊される。さらにミリアは空中から手を掲げ、詠唱。
氷属性の魔力で新たな氷の陸地を出現させてスッと着地して体勢を整え………。
しかし、ボスクラーケンの巨大触手ゲソが再び振り下ろされる。
「クッ………」
振り下ろされた巨大な触手ゲソにより氷の陸地は破壊され、体勢を整える前にミリアはジャンプして回避し、空中から詠唱して再び氷の陸地を出現させて着地する。
氷の陸地が出現しては巨大な触手ゲソに破壊され、空中から氷の陸地を出現させては巨大な触手ゲソに破壊され。を繰り返すのである………。
───そして………。
「ハァ………ハァ………ハァ………」
氷の陸地に立ち、荒々しい息を吐いてミリアはロングソードを両手で構え、ボスクラーケンを睨む。
ボスクラーケンは海上から巨大な触手ゲソを無数に伸ばして威圧する。破壊されては氷の陸地を作るをイタチごっこ、このままではミリアの体力がもたない。
(どうすれば?いいのかしら?)
雷属性、氷属性が効かないボスクラーケンを前にしてミリアは絶望的な様子を浮かべる。おそらくそれらに限らず、魔法すら効かないのではないか?と、予感させる。
撤退か………しかし、撤退をしても無事に逃げられる保障は………ない。ここは海の上、奴にとっては庭同然であり、逃げても追い詰められ、最後は海の藻くずとなり、海に放り出された乗組員はボスクラーケンにより補食されるであろう。結果、この状況での生存確率は………ゼロだ。
まるで処刑台に立たされたかのような絶対絶命の状況のミリア。
グヲヲヲヲヲヲヲヲヲッ
ボスクラーケンは咆哮。そしてそれは、罪人の首元に狙いを定めた処刑人のハルバートの如く。ボスクラーケンの巨大な触手ゲソが振り下ろされる。
───そして、全域に残酷な轟音が響き渡る。




