後日談 おまけ16
そして、現在に至るのである………。会食室にて、グレゴリー皇帝は額から冷や汗をポタポタと滴らせ、沈黙する。まるで全てがバレてしまい、先生に説教されている子供のように。
───いま彼女に。いや、どの国々の首脳相手にどんな説明をしても全てが言い訳となり、挽回は不可能。
「さて、交渉しましょう。アナタには色々な責任を追求されます。テロ組織には秘密裏の経済支援、兵力の提供、資金援助。そして経済協定を結ぶ相手国の指導者に刃を向け、闇に葬ろうとした。さらに裏工作に反対する関係者を粛清行為など………」
皇帝の工作に反対意見は多く、兵士達に尋問したら簡単に教えてくれた。
「ぐっ…………」
ミリアの言葉に、グレゴリー皇帝はさらに黙る。何故なら全て自身が部下達に命令したモノであり、あの様子だと色々と耳に入っている。
張りつめる空気にサクッと刃を入れるように………ミリアは提案。
「アナタに選択肢を託します。このまま国際会議を開き、国際法違反として世界各国から経済制裁を受けるか。そうなればクロフォード王国はアナタ方と関係は破棄します。もし、そうなればアレクサンドル帝国は国力衰退し、アナタは皇帝として終わりです。そこで………」
そこで………と、ミリアの言葉にグレゴリー皇帝に視線を向ける。
「今、クロフォード王国が輸出先としてアレクサンドル帝国に払っている関税、今の3分1。そして帝国側が私達に払っている関税を3倍。その条件にして許します」
ミリアは言った。
「関税を………3分の1。後は払う関税を3倍だと?」
苦い表情を浮かべるグレゴリー皇帝。
「如何でしょう?国際会議で経済制裁を受けるより、コチラの方が最善の手だと………」
ミリアは威圧的な面で言う。
相手側の非、そして国力衰退を弱みを取引材料にして交渉し、経済的優位を確立させる。何ともえげつない。
「仕方ない。それで手を打とう………」
グレゴリー皇帝は、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、ミリアの提案を了承する。いくら暴君の彼でも、国力の衰退は避けたいらしい。
★★★★★★
───取引終了後。
「疲れました。マスク・ド・aさまぁ〜~~頭を撫で撫でしてくださぁ~~~い」
首都のヨハネダラス、中央広場のベンチにていつものミリアはアンゼシカ(真美)にデレデレと甘える。
「お疲れ様でした。ミリアさん………」
とりあえず、アンゼシカ(真美)はベンチに腰掛け、ミリアの頭をヨシヨシと猫のように撫でる。真摯な姿勢の彼女の姿から………こうして甘えるミリアが、何とも可愛らしい。
「せんぱぁ~~~い。私も、頭を撫で撫でしてくださぁ〜~い」
さらに、隣には絵葉。同じようにすり寄る。
「はいはい、2人ともご苦労様でした………」
アンゼシカ(真美)は撫でる。面倒くさい2人を………。
これからも、私達の旅は続く。




