後日談 おまけ15
広地全体に響かせる声に、皆は焦りを隠せない。何故ならこの場所を知っているは親帝国派の一部の人間と、この工作任務を任された帝国軍の兵士だけだから。
それを、何故知っているものがいる?
───親帝国派、帝国軍の工作員達は神経を研ぎ澄ませ、武器を構えて辺りを眺めながら応戦体勢を整える。すると、茂みから姿を現す。
「この間、経済協定を結んだのに、まことに残念で何よりです」
深夜の広地に照らさられる月光。現れたのはミリア。そして彼女の隣には私ことアンゼシカ(真美)。今ではマスク・ド・aとして護衛役を任されている。
「クロフォード王国の女王陛下のミリアか………クソ、今の話を全て…………」
「はい、全て聞かせて貰いました。テロ支援はグレゴリー皇帝の命令。この耳にしっかり記憶しておきました」
親帝国派のリーダー格のセリフに対してミリアは言った。期待を裏切られた事により残念な様子だ。
すると帝国軍の工作員はロングソードを抜き。
「バレたら仕方ない。アンタ達には………」
───同時にミリアはスッと手を上げ。
「絵葉さんっ」
「いちいち命令されなくても、分かってますよっ。麻痺っ!!」
光の球の状態から絵葉はミリアの命令に文句を言いつつも人型化し、スラスラと詠唱を開始。ちなみに絵葉は戦闘は出来ないが、仲間をサポートしたり相手の動きを封じ込める事が出来る。
「何だっ………身体が動かないっ」
親帝国派のグループ、帝国軍の補給部隊の人達の足元に詠唱陣が描かれ、麻痺の状態異常により身動きを封じ込める。全身は雷流をピリピリと行き渡ったかのような感覚、まず指一つすら動かせないだろう。
彼等は一瞬にして体勢を崩され、戦闘不能。
───そして、タイミング良くクロフォード王国軍とマイキー公国の軍隊が深夜の広地に駆けつける。両国の軍隊達は親帝国派と帝国軍を拘束した。
「大人しくしろっ」
マイキー公国の軍人が厳しい声で一喝し、立ち上がらせる。
「ち、仕方ないな………」と、観念して連行される反政府組織と帝国軍である。だが、帝国は経済協定を結んでいるクロフォード王国の女王に対して刃を向けた為、グレゴリー皇帝は責任を追求されるだろう。さて、あとは色々と彼等にお話を聞かせて貰いましょう………これからは彼等は尋問に掛けられ、ありとあらゆる情報を吐かされるのである。
「ミリアさんはこれからどうします?」
アンゼシカ(真美)は尋ねる。
「そうですね………もう一度、アレクサンドル帝国と再び協定を色々な面で見直す事にしましょう」
ミリアは言うのである………。




