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後日談 おまけ12




 会食室の空気はまるで、破裂寸前の風船のように張りつめていた。鉛のように冷たく、一粒一粒の粒子のホコリが目で確認出来るほど、神経を研ぎ澄ませる………。そんな雰囲気だった。


───気品漂わせる会食室のテーブルに腰掛け、額から汗を流しているのはアレクサンドル帝国皇帝陛下のグレゴリー・アサド。50代後半、色黒の肌に艶があるボサボサな黒髪、そして彫刻のように窪んだ頬に白髪混じりのヒゲ。衣装は気品ある厚布のコート、金の腕輪。


 グレゴリー皇帝は、まるで心臓を掴まれたように沈黙し、視線の先に腰掛ける人物を見つめる。


「何が………条件だ?」


 グレゴリー皇帝は重く、そして穴底から訴えかけるような苦しい声を吐き出す。グレゴリー皇帝は普段は威圧感ある皇帝陛下であり、政策や自身に歯向かう部下や民には容赦はしない。それらの邪魔者を全てを粛清してきた絶対的な指導者であり、帝国の国民や大臣からは恐れられ、南の大陸にいる国々の代表者からは危険視されている………その人物ですら目の前にいる人物の前では、もはや悪魔に弱みを握られた愚か者である………。


 グレゴリー皇帝の視線の先にいる人物は、大空からギラリと瞳を光らせ、殺気を消した状態で狙いを定める猛禽類のように彼に睨みを利かせ、口を開くのである。


「アナタがしてきた事は、私達や国際会議全体に対する条約違反です。私がここに来たのは、アナタと改めて交渉しに来たのですよ………」


 優しい言葉かつ………そして刃で突き刺すように厳しく言ったのはミリア。普段はマスク・ド・aにデレデレと甘え、溺愛癖のある彼女の顔ではなく、勇ましい瞳の視線を差し、それはクロフォード王国を代表とし、真摯な姿勢を整えた冷徹な指導者である。


 その姿勢、ミリアの背中姿を見守るアンゼシカ(真美)は思わず心の中で呟くのである。


(ミリアさん………いつもとは違い、何か凄い雰囲気を漂わせているね………)


 ミリアの横。付き添い役で立っているアンゼシカ(真美)は思わずミリアの圧力を受けてしまい、年下だけど、彼女から漂わせる威圧感により額からはヒヤリとした汗を流して息をゴクリと呑む………。これが外交時に見せるミリアの顔ですか………かつて生きていた現実世界の自分とは違い、物凄くしっかりしている。

 

 その鋼のような挑戦的な度胸は、国を動かせる政治家や実業家になれる程である………。


───今、行っているのはクロフォード王国とアレクサンドル帝国の緊急会談である。こうなったのには色々と理由がある。


 それは、また別の話になる。


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