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後日談 おまけ11





「やっぱり、夏はクーラーが効いたせんぱいの部屋でゲームをするのに限りまぁす」


 テレビの前にてあぐらをかいて座り、そう言っているのは中谷絵葉なかたにえば。愛すべき後輩と書いてバカと呼ぶ。


 私はベッドに腰掛け、何気無く質問をぶつける。


「何でアナタはわざわざひとんちでギャルゲーをしているの?」


 絵葉えばがやっているのは格闘ゲームではなく、美少女ゲームである。至って何気ないストーリーであり、男子が主人公となって様々なヒロインと恋愛関係になり、そしてそのヒロインとのエンディングを迎えるゲームである。ちなみにこのゲームは私の私物ではない。絵葉えばが勝手に自分の家から持って来た物である。


 いっぽうの私か?………ギャルゲーにはあまり興味が無い。過去に一度やってみたが、ゲームの主人公が引き起こす学園生活観と現実の自分と比較してしまう事もあり、やってものの数日で買取り行きとなった。


 すると絵葉えばは。


「そういえばせんぱい………」


 絵葉えばがコントローラーを握り、私に熱い視線を差してくる。


「どうしたの?」


 そして少し間を置いて再び口を開く………。


「夏なのに、服装がおもしろくないです。もっとダボダボのTシャツか、ピチピチのノースリーブが良かったです。そして袖の口から露わになったせんぱいのワキの下が………」


「バカ、アンタは何言ってるの?」


 私は両脇を押さえて恥ずかしい表情で言う。さらに絵葉バカは企み気味に言う。


「せんぱい、今すぐノースリーブに着替えて着てくれませんか?そして私だけにせんぱいのワキを眼福させてくれませんか?」


 はい、また始まった。


「しません。アンタは目の前のゲームに集中しなさい………」


「せんぱいのケチ、可愛いい後輩にワキちらを見せてくれたって良いじゃないですか?」


 と、絵葉えばは残念な様子でブツブツと小さく文句を私に対してぶつけてくる。


「好きでワキの下を見せるほど、私は変態ではありません」


 私はキッパリと主張した。


 と、私の主張にコイツは………再びコントローラーを握り、テレビ画面に釘付けになり、目の前の美少女ゲームに集中していた。


 無視か………最初に振って来たクセに。


 疲れた。私は少し呆れながらベッドから立ち。


「ノド渇いたでしょ?飲み物持って来るから待ってて」


「私はジョッキ一杯に入ったせんぱいのワキ汗をお願いします」


「出しません」


「せんぱい、こちらはお客様です。お客様の注文は受けるのが主人の務めだと思いますよ」


 と、正当性を主張する絵葉えば


「ばか………」


 私はそう言い放ち、部屋を後にして階段を降りてジュースを取りに行く。


 これは、あるバカとのひと夏のお話である………。


 

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