後日談 おまけ5
深夜、月夜の光が窓から室内を照らし、アンゼシカ(真美)は宿屋の部屋のベッドにて天井のランタンを眺めていた。
───私はこれまでの事を思い浮かべる。
私は山瀬真美。かつて現実世界で生を受け、友達は少なかったけど幼稚園児から社会人まで普通の人生を過ごしてきた。
そしてひょんな事に交通事故で死に、いきなりゲームの世界に転生してしまう。よりによって悪役令嬢であり、物語のラスボスのアンゼシカ・ヨハーソンとして、生きる事になった………。
それからと言うものの、アンゼシカ・ヨハーソンとしての名前をマスク・ド・aとして改名して主人公であり、ヒロインのミリア・ミア・シュバルツを影から見守る者として………。そしてアレックス、デビッド、サウルにロメロと小さな翼と共に、様々な修羅場を潜り抜け、苦楽を共にした。それはそれは楽しい事や嬉しい事、同時に辛い事や悲しい事………。
アンゼシカ(真美)は笑みをクスッと笑みを浮かべ。
(今、思い浮かべれば良い思い出である………)
そして仲間達とこの世界の元凶であり、歴代の王国指導者に、ミリアに宿る悪魔Diablosを倒し、クロフォード王国を………そして世界を救った………。
(あれから1年か………)
城を立て直し、領有権争いしていた隣国のノーザンブリア共和国には謝罪。本当に目まぐるしい日々であった。一方の私は世界を見るため、この世界で新しい人生を送る為、旅に出た。
が………………。
「マスク・ド・aさまぁ~~~~」
「せんぱぁ~~~~い………」
(何でこーなるんだろう?………)
ベッドに仰向けに寝るアンゼシカ(真美)はタメ息を吐いて困惑する。
右側にはミリア。私の右腕を組み、誘惑をするように乳房を押し当ててくる。
左側には絵葉。私の左腕を両手でしがみつき、頬をスリスリしている。
新しい人生の旅路に、この2人。片方は城から追放されたヒロインであり、現女王陛下。片方は現実世界においての後輩であり、親友の変態少女。
自身にそんな性癖はないのに………。
(何で私に、こんなにも同性にモテてしまうのだろう?)
2人の溺愛アプローチに涙目になるアンゼシカ(真美)。ああ、暑苦しい………もし、逃げようとすれば。
ミリアと人型した絵葉は瞳を光らせ。
「マスク・ド・a様。逃がしませんよぉ~~~」
「せんぱい、今夜は寝かしませんよ………」
起きようとしたら2人に両腕をガシッと掴まれてベッドに引き戻されてしまう。しかも凄い力で。
あの戦いが終わり、1人で伸び伸びとこの世界を見て聞いて感じて旅をしてのセカンドライフを送りたかったのだが………どうしてこうなったのだ?
そして、夜は更けていく………。




