ゲームの悪役令嬢に転生した私はラスボスエンドを回避したいが、追放ヒロインに溺愛されて………悪くない
一方の私(真美)か?………。
歩いている場所は木々が生え、緑で生い茂った山岳地帯の街道。あの修羅場から1年が経過し、私は旅に出る事にした。足を運ぶ先は東部、いやそれに限らずこの世界の国々や地域を見てみたい。それが私の希望だ。
雲海が広がり、爽快な青空の下。私は思い浮かべる。
(ミリアさん。元気かな?………)
などと心配する。国政が安定するまで近くで見守っていたけど彼女は自身が思うより政治手腕が達者だ。民族支配政策の撤廃、東部地域の軍撤退などを実施。そして様々な政策や措置により不安定な状態の王国を安定させた。
(リーダーシップの高さは私より上ね………)
私は感銘を受ける。多分、私が前世で生きていた世界の会社では、部長が務まるレベルであろう。
(そういえばアイツの声、聞こえなくなったな………)
私は絵葉の声を思い浮かべる。1年前の鉄火場以来、姿を現さなくなった。少し寂しいような………。
───ピキッ………と冷たくなる気配を私は察した。
(この感じはまさか………)
久しぶりのようであり………。
「マスク・ド・aさまぁ~~~~ッ!!」
瞳をキラリと光らせ、飛び掛かって来たのはリュックサックで荷物を背負ったミリア。
「げぷっ」
高い場所から飛びかかって来たミリアに抱きつかれ、変な声を上げながらも私(真美)は受け止める。
「マスク・ド・aさまぁ~~~」
抱きついて頬擦りをするミリア。
「何故、君がここに?」
私(真美)は尋ねる。
「マスク・ド・a様と一緒に旅がしたいので付いてきました。てへ」
「テヘって………国の運営は?」
「国政は夫のアルフレッドに任せました。色々と政権運営を教えたので大丈夫です」
「良いのかそんなので………」
ミリアのセリフに困惑するわ私。
★★★★★★
その頃、城では。
「ミリア様がいないっ!!」
「どこに行った?」
文字通り、大騒ぎになっていた。
(………あの小娘。見つけたら覚えておくことね)
もぬけの殻と化したミリアの私室にて、メルディはプルプルと怒りを震わせる。元反民族派の彼女は、王国の騎士として就任していた。
★★★★★★
「さて、行きましょうマスク・ド・a様。私達も愛の逃避行を………」
私の腕を組み、張り切るミリア。
ちょっと待って下さい。私を差しおいて何勝手に話を進めているのですか?
「この声は?」
そして絵葉が光の球として再臨。
久しぶりですね?せんぱい?
「絵葉?」と、私は驚きの声。
おや、誰ですか?この小娘は?アナタ、せんぱいとイチャイチャ出来るのは私だけ、そこを退きなさい
「いやです。マスク・ド・a様とのイチャイチャは私の特権です。退くのはアナタの方です」
ミリアは反論。
何をぉ~~~
光の球の絵葉はミリアと睨み合う。
「アナタ達、仲良くすれば………」
面倒くさい様子の私。ため息。
ゲームの悪役令嬢に転生した私はラスボスエンドを回避したいが、追放ヒロインに溺愛されて………悪くないかな。




