第401話 そこは生と死の空間
その世界は一面光が広がっていた。上空には白い雲が広がり、地面は水湖のように輝いていた。
不思議な感覚だ………まるでここに訪れた事があるような。
(ここは?………)
───地面に写し出される自身。ミリアは聖剣クラウ・ソラスを片手で持ち、辺りを眺めていた。この場所に立っているのは自分だけ、アレックス、デビッド、サウル、ロメロに小さな翼。そして、マスク・ド・aもいない。
先程、激戦だったので落ち着かない気持ち。
「待っていたよ………我が孫娘よ」
ミリアの前に出現したのは………若き頃のレオナルド・ミア・シュバルツ。
「アナタは、レオナルドおじい様?………」
レオナルドはジロりとミリアを見定める。
「ここは生と死の狭間による空間、我の存在はあくまで思念体。だが、こうして君に会えるのは嬉しい限りだ………うむ、良い目をしている」
「おじいさま、私も………」
ミリアは何か言いたいが、思い付かない。ここまで来るのに色々とあって気持ちが整わない状況。まるで行き止まりにたどり着いたように。
「その様子だと、ここまで来るのに色々とあったみたいだな?」
「………はい」
ミリアは言う。本当に色々あった………仲間達と楽しい事や嬉しい事。辛い事や悲しいこと………。
するとレオナルドは申し訳ない様子で。
「君を苦しめてしまい、申し訳無い。そしてよく、我が悲願を全うしてくれた………感謝する」
レオナルドは深々と頭を下げ、言った。元は自身の責任、本来なら自身が片づけるハズだった。するとミリアは………。
「頭を上げてくださいおじい様。確かに私は厳しい経験しましたが、それにより沢山の事を学びました。私を………国を建国してくださり、ありがとうございます」
ミリアは頭を下げ、言った。
「そうか………」と、レオナルドは微笑む。
すると父のイザーク、母のアリシアの思念体がミリアの前に出現した。
「父上、母上………」
ミリアは両親の思念体に感極まる。
「私もいる」
次はクリス・ヨハーソンの思念体。
「俺もいます」
そしてカイトの思念体が出現。
「皆さん………」
ミリアは驚愕。初代国王のレオナルド、父上のイザーク、母のアリシア。そしてレオナルドの親友のクリス・ヨハーソンに親しい部下のカイト・アルゼイド。
「最後に私達から君に言わせてもらう。これからもクロフォード王国を頼んだよ。君が指導するクロフォード王国が楽しみだ………私達はいつでも君を見守っているからな………」
レオナルドは伝えるのである。
───するとミリアに光が包まれ、皆の姿が遠退いていく。待って下さい………と、手を伸ばすが引き離されていく。




