第3話 会議そして旅立ち
「失礼致します、閣下。会議の出席をお願いします」
ドアを開き、訪ねてきたのは中年男性。容姿は50代、小太り体型のスキンヘッド。気品高い貴族コートを着用しており、大臣という奴だ。物語上、アンゼシカ・ヨハーソンは王女を追放してこの国の陛下になった。
「えっと……」
いきなり入って来た大臣に、アンゼシカに転生した真美は口ごもる。
会議?今、自分の状況を受け止めて気持ちを整理するのに精一杯なのだが……。しかし。
★★★★★★
───〈王国会議室〉───
青いカーペット、壁には国旗が装飾された広い会議室。大理石で造られた会議テーブルには10人の大臣が着席し、重い雰囲気を漂わせている。
流れるまま会議に出席してしまったが、こんな会議に出席するのは初めてだ。しかし、出席しなければ不審に思われる。
(早く終わって……)
真美は陛下専用の重役席に着席し、会議は開始。
───会議の内容は、(経済政策)(社会政策)(外交政策)や国内で影響力がある各団体や組織などの報告。各大臣が提案しての議論。自分がこれまで平凡に生きて聞いた事の無い用語が白熱し、会議室中には保守派と改革派に分かれ、様々な意見が飛び交い、並行のまま進む。
(…………)
真美は会議の内容が頭に入らない。
何故なら悪役令嬢に転生して、ラスボスエンドを回避しなければ死ぬのだから……今は会議なんて、どうでもいい。今は自分がどうやって生き残るか、それが一番重要である。
真美は考える……現実世界で車に衝突して死亡して、ゲームの世界でまた死ぬのはゴメンである。
どうしよう、どうしよう……皆が政策に議論している中、私は自分の生死について議論を白熱。
「陛下、私達の考えについて、意見をお願いします」
1人の大臣が、真美に訪ねてきた。
大臣の言葉により、全員の大臣の視線が真美に集中してくる。
「えっ……その……」
真美は口ごもる。
何故なら何を議論しているか、聞いてない。
───大臣達の視線が、まるで限界まで膨らんだ風船のように張り詰める。
1秒、2秒、3秒………。
「うん、それでいいのではないか」と、適当に真美は答えた。
★★★★★
とりあえず、会議は終わり、部屋に戻る。
適当な言葉により、他の大臣達からは溜め息を吐かれてしまうハメになった。
「こうなったら……」と、真美は決意する。
★★★★★
──真美は軍馬に乗り、走る。
とりあえず城には、国政の勉強の為、しばらく旅に出る。と、置き手紙を残して来た。
彼女、追放王女のミリア・ミア・シュヴァルツは中央都市アフタヌーンにいる。王都から馬を走らせて3時間の距離。善は急げ、自分の命を掛けて……。
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