第394話 追放の際の裏エピソード
包まれた光の中、私自身の過去の光景が移し出される。光の中は温かくも心地よい………そんな感覚である。
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───城の中の王妃の部屋。王室ベッドにて出産に力む女王陛下。心配ながら多くの侍女達に見守られ、1人の女の子が産声を響かせた………。名前はミリア。
生を受けたミリア、嬉し涙を流した女王陛下に抱きかかえる。侍女達は拍手、娘の誕生に国中で祝福された。
次、それは女王陛下がヨハーソン公爵邸にお忍びで休息に訪れた際、2階の中庭テラスにて赤ん坊を抱きかかえた女王陛下やホセ公爵や他の貴族達と談笑。
ホセ公爵の後ろに隠れ、そこにいるのは当時10歳のアンゼシカ。目があった女王陛下、するとニコりとした笑みを浮かべ。
───アナタもこちらにいらっしゃい………。
アンゼシカは女王陛下にこっちに来るように言われ、赤ん坊のミリアを眺める。
ミリアにギュッと指を握られ、少し困惑するアンゼシカ。どうやら、気に入られたようだ………。
それから年月が流れ………。
───本日、姫様の教育係として任命されたアンゼシカ・ヨハーソンと言います。
ミリアの部屋にてアンゼシカはぎこちない礼儀正しい姿勢で主張。それからは7年間、彼女とは過して楽しかった………。麦畑を散歩したり馬に乗って平原を駆け抜けたり時に厳しい訓練も指導してくれもらい………そして社交会のパーティーにて一緒にダンスのパートナーになってくれたり………。
しかし、別れは突然にやって来た………。
───アンゼシカ・ヨハーソンを教育係を解任する。
私は部屋にて泣いていた。親しい人を引き離され、胸が引き裂かれる気持ちになった。
けど………2年後、彼女は変わっていた。まるで血に汚れた鬼のようだった。
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すると、ある光景が、やり取りが映し出される………。場所は城下町の裏路地にて。
「呼び出して悪いな」
アンゼシカは言う。
「いや、大丈夫だよ。久しぶりだねアン」
言ったのはスペンス。
「城にいる各大臣や騎士達には事情を話して準備は出来た………これからミリア様を追放する。これはアイツ(ディアブロス)から国を、そしてミリア様を守る為だ」
「君は優しいんだね?」
「あの可愛らしい笑顔には血は似合わぬ………それでお前にはミリア様がギルドに訪れたら保護をしてほしい」
「平民の僕と君とは幼馴染の仲だ。しっかり見守らせてもらうよ。けど、君は怖くないのか?」
「何がだ?」
スペンスの質問に、アンゼシカは視線を向ける。
「ミリア姫を追放し、陛下となった君は奴に取り憑かれ、ミリア姫は王国を取り戻す為に、君と刃を交え合う事になるよ?」
スペンスの質問にアンゼシカは覚悟を決めたような瞳、そして言葉を投げ掛ける。少し間を空け、アンゼシカは軽く息を吸い込み、口を開く。
「………私の覚悟は決まっている。ミリア様が平穏無事に過ごせるなら私は悪魔となり、大切な人に葬るられるなら喜んで命を差し出してやるさ………」
アンゼシカは言った。覚悟のある笑みを浮かべて………。




