第393話 そこはかつて私(真美)が住んでいた世界
包まれた光が晴れ、そこは違う世界に辿り着いた………。
「………ここはいったい?」
ミリアは辺りを眺める………。歩いている場所は遊歩道、視界に広がるのは河川敷、鳴り響く線路を走る電車の音。自身の後ろには閑静な住宅街。時刻は夕暮れ、日は傾きつつある。しかしそこは、自身が住む世界ではない………そのような雰囲気に包まれる。ミリアは沈みゆく夕陽をひたすら眺める。
すると1人の女性が歩み寄る。
「ここは私がかつて住んでいた世界よ………」
ミリアの前に現れたのはマスク・ド・a。
「マスク・ド・a様?………」
ミリアは視線を向ける。そしてアンゼシカ(真美)はミリアの隣に立ち、夕陽を眺める。
そして、2人は遊歩道を歩く。
「私はこの町に生まれて色々な事を学びました。楽しい事、嬉しい事や………あと、辛い事や悲しい事。時に嫌いになったりもしたよ………」
「ここが、マスク・ド・a様が生まれた町なんですか?」
ミリアは夕陽を眺め、言った。アンゼシカ(真美)はさらに続ける。
「そうさ………でも、それでも生きてきたこの町は、私にとっても思い出の場所よ。自身を育ててくれた事を、今でも感謝しているよ………」
アンゼシカ(真美)は言った。
「じゃあ?この世界はもう?」
「いや、事情があって私は戻れなくなったけど今も存在はしているわ………」
「そう………ですか」
しばらく………会話しながら遊歩道を歩く2人。すると立ち止まるミリア。
「マスク・ド・a様、わたし………」
まるで、この先に進むのを躊躇い………自身が元の世界に、皆の所に戻って良いのだろうか?………と、迷う。
沈黙するアンゼシカ(真美)を眺め、ミリアは自身の両掌を眺め、口を開く。
「私は、先祖代々から取り憑いている悪魔を宿して、その先祖達が代々行って来た政策で多くの人々を殺害してきました。血で汚れた私は戻る資格はありますか?」
血塗られた歴史。ミリアの主張にアンゼシカ(真美)は、聖剣クラウ・ソラスをスッと取り出す。
「ミリアさん、アナタは何を望みますか?」
アンゼシカ(真美)は聖剣クラウ・ソラスを片手で持ち、ミリアに尋ねる。
「私は………」
「選択するのは、君自身よ………」
アンゼシカ(真美)は言った。持っている聖剣クラウ・ソラスは聖なる輝きを放っている。
聖なる輝きを眺めるミリア。するとアンゼシカ(真美)は再度、口を開く。
「だからこそなのではないかな?アナタ自身は先祖達が行ってきた非業を知っている。君自身が指導者になるべきだと、私は思っているわ」
アンゼシカ(真美)のセリフにミリアは………。
───そして、ミリアは聖剣クラウ・ソラスを手にする。光に包まれる。




