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第392話 幻想を斬り伏せるミリア





───私はアンゼシカお姉様が大好きだった………。教育係としていつも優しく、時に訓練では厳しい教官としての面も兼ね備え、私にとっては年の離れた姉のような方である。そんな彼女の教育のおかげで私自身の人格が形成させれ、私は彼女の背中をいつも見ていて憧れた。


 優しい母上、それらを兼ね備えた勇敢な父上。そして国内にいる全ての人々は活気に満ち、私は大好きである。王国はあらゆる政策や外交により繁栄し、他国との関係も良好だ。それは私にとって望んだ世界、理想の世界………。


 だけど、そろそろ目を覚まさなくていけない。この作られた世界から………。


 ★★★★★★

 

 麦畑にて、異形の騎士と刃を交え合う中にいるアンゼシカ。そして空中に激しい鮮血が広がり、一辺の麦が紅に染まる………。一体………何が起きたのだろうか?と、アンゼシカ・ヨハーソンは思わず振り向いて。


「ミリア…………さん?」


 その光景に、アンゼシカは思わず驚愕した。


「ハァ………ハァ………ハァ………」


 息を切らしてミリアは涙を流し、背後から………ショートソードでアンゼシカを刺していた。涙を流す訳、本当はしたくなかったが、こうするしかなかった。何故ならこの場にいるアンゼシカお姉様は………。


 全身に行き渡る激痛と炎のように燃え盛るような灼熱、アンゼシカは吐血し………。


「どうして?………何故、ミリア様っ?」


 アンゼシカは激痛により凄み、ミリアを睨む。しかしミリアは涙を流しながらしっかりと気持ちを整え、口を開く………。


「アナタはアンゼシカお姉様であってお姉様ではない。ここは私が望んだ世界の中、具体的にはDiablosディアブロスによって創られた世界………アナタはそれに表現された偽物の存在………」


 ミリアは言った………。


「ミリ………ア様………」


 ミリアはショートソードを抜き、さらに口を開くのである………。


「私は………帰ります。皆のいる世界に………母が生きていて、父が生きていて………本当にこんな世界があったら良いですけど………表現された世界ですけど、楽しかったです………」


 しかし、アンゼシカ?は………。


「フザケルナ………キサマは、ワタシの………」


 本性を現したかのように………黒い炎のような異形となるアンゼシカ。


「アナタはアンゼシカお姉様ではないっ!!」


 ミリアはショートソードを振るい、偽物のアンゼシカを斬り伏せた。斬り伏せられた偽物のアンゼシカは断末魔の叫び声を響かせ、消滅した。


───そして同時に………役目を終えたかのように………麦畑全体に眩い光が広がり、ミリアを包み込む。


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