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第383話 そこは彼女が望んだ世界Part4





───城の外に出る2人、ミリアとアンゼシカは麦畑に到着した。この場所は幼少期のミリアと当時15歳で教育係として任命された新兵アンゼシカが楽しく過ごした散歩コースである。波風によりユラユラと揺れる麦畑、その光景はまるで蛇のように………。


 2人は芝生に座り、麦畑を眺める。


「この感じ、懐かしいですね?」


 吹き付ける心地いいそよ風、全身に染み渡る。ミリアは宝石のように輝く金髪を片手で整え、麦畑を見て表情を緩ませる。


「そうですね。ミリア様もすっかり大人になりましたね?」

 

 アンゼシカはミリアを横から眺め、幼少期から現代の姿を記憶の中で見比べ、成長を微笑む。当時のミリア様は5歳であり私は15歳、お互い未熟同士が10年の年月が流れた事によりあらゆる知識や経験、人間としての成長を感じさせる。


 するとミリアはシートを芝生の斜面にバサッと広げ、編みカゴから紅茶とビスケットを取り出し、ティータイム。そしてミリアは紅茶の入ったティーポットからコポコポと音を響かせ、紅茶をティーカップに注ぐ。


 湯気が昇り、紅茶の入ったティーカップをアンゼシカに差し出す。


「こうして眺めていると小さい頃を思い出します」


「はい、ミリア様が走って麦畑に入って、戻らないので私が探し回って………ミリア様に抱きつかれて押し倒されてしまいましたね?」


 アンゼシカは紅茶のティーカップを受け取り、麦畑を眺めながらスッと口に含む。

 

「その後、2人で笑い合って………何だか、恥ずかしいような懐かしいような………」


 ミリアは紅茶を注いだティーカップを口に含み、休憩の雰囲気に浸る。


「あの頃のミリア様はお転婆で、そんな事もありましたね………けど、私はそんなミリア様が好きでしたから。成長してしまった事により少し残念です」


 アンゼシカはミリアの成長した姿を眺め、時の流れに何処か寂しい感じの微笑みを浮かべ、紅茶を口に含む。


 ミリアはどうだ?と、言わんばかりに成長した胸を張り。笑みを浮かべて主張する。


「今ではそのお転婆娘も、こんなに大きくなりました。私も当時のお姉様が、好きでした………何処か不器用で、何とかしようとしている所とか………」


 ミリアは言う。


「あの頃の私は右も左も分からない若輩者で、お互い成長したって事です。もちろん………私は今のミリア様も好きです。いつも近くで見ていた私も、アナタの成長に、大変誇りに思います」


 アンゼシカの言葉に、ミリアのカァーと表情は赤くなり。


「お姉様………」


「何でしょう?」


「好き」


 ミリアはアンゼシカの腕を組み、身体を密着させて抱きつく。


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