第380話 そこは彼女が望んだ世界part2
───国王・王妃殿下の私室にて。天井にはシャンデリア、真紅のカーペットが敷かれた広い部屋。そして金の装飾が施された鏡台や衣装棚が置かれ、2人用のベッド。
入室したのはアンゼシカとミリア。理由、呼び出されたからだ。ちなみにアンゼシカはミリアの直属の護衛と王国軍の最高指揮官を兼ねている。
「ご無沙汰しております母上」
部屋に着くなりミリアはお辞儀。気品なドレスを着用し、複数人の侍女を取り巻き、気品なイスに座っているのはミリアの母君であるアリシア王妃。するとアリシア王妃は娘の表情をキッと真剣な眼差しで見るなり、口を開く。
「ミリア。公務は関心しますけどアナタは最近、働き過ぎではなくて?」
アリシアは言う。娘の表情に少しお疲れな様子を見抜いた。
「そんな事はないかと?」
ミリアの言葉に、アリシアは。
「王国の定例会議に外交、いくら一国の姫君でももう少し余裕を持ったらどうかしら?アナタはまだ若いし学ぶ立場、今の公務は私と陛下に任せては?」
「いえ母上、私は国民に安心した暮らしを送ってもらいたいのです」
ミリアは主張した。
「それは良い事よ。聞いたけど、大幅な増税を採決したらしいじゃない?ちゃんと政策は上手く出来るの?」
アリシアは尋ねる。
「それはぁ………」
母君の指摘にミリアは少し悩む。するとアリシアは質問する。
「今の王国は魔導学、農業、交易が盛んで国益が多い。決してアナタの増税案を採決して様々な政策や補償案の予算にするのは悪くない。けど、もし何かの拍子で経済関係のある国が経済が悪くなって私達の国に影響を受けて恐慌などによる経済悪化したらその時の対応、政策をどう維持するかは考えているの?」
アリシアは冷静な姿勢で問う。母君の質問にミリアはうっかりした様子で。
「うっ………それは考えてなかった」
「危機対応を考えていないなら、まだ指導者としては半人前ね。それが原因で、民が失業して路頭に迷って治安が悪くなったら本末転倒ではなくて?」
アリシアは、ミリアが採決した政策の穴を意地悪な角度で指摘。母君による穴を突くような指摘に少し後悔するミリア。
するとアンゼシカは横から挟むように口を開く。
「お言葉ですがアリシア様。ミリア様はこの前、我が国と長い緊張状態であった東の共和国と和平合意を実現させています。王国の指導者としては最高かと………」
アンゼシカは上手くフォローする。
「アンゼシカ、娘をあまり甘やかしたらダメよ。確かにミリアは指導者としての才能は高いし、王国の将来は明るいわ………それはそうとしてミリア、アナタを呼び出したのわね………」




