第378話 映し出される光景Part4
光景を見て、私(真美)は思わず引き下がる。
(………)
黙るしかなかった………王族の過去、それはあまりにも壮絶だから。これまで行って来た奴の策略に、私(真美)は身を震わせる。一言で例えればサイコパス、まるで殺人犯による殺人現場を見たような………そんな感覚だ。しかし現実で見たら腰を抜かして立てないが、今はアンゼシカ・ヨハーソンと言う強いキャラに転移している為、気持ちはしっかりしている。
すると………。
(これは………)
その光景に、私(真美)は驚愕し、青ざめる。
───そこはまるで地獄のような光景となっていた。全体に広がるのは不気味な呻き声を響かせている無数の赤黒い人影。何百、何千………何万。そんな次元の数の人影が歩き進む。
痛い………助けて………
何で、俺達が?………
アナ………タ………どこ?
おかあ………さん……おかあ……さん………
様々な呻き声が響かせ、赤黒い霊魂が至る所から現れ、人影を具現化していく。今までDiablosに憑依された歴代の指導者による政策、措置、制度、様々な執行行使により殺された人々の霊魂。様々な声、女性や子供、恋人を探す声、母親を探す声が聞こえて来る。
「これがみんな、Diablosに殺された人達なの?」
アンゼシカ(真美)はその地獄のような光景を眺める。現実世界では見た事ないが、見たら間違いなくチビるレベルだ。
人々の霊魂達はひたすら真っすぐ………導かれるようにゆったりとした足取りで進むのである。アンゼシカ(真美)は景色を眺めつつ、地獄と化した空間を進んでいく。しかしアンゼシカ(真美)は立ち止まり、分からない。どこを進み、向えばミリアがいるのかを………。
「どこに行けば良いの?」
アンゼシカ(真美)は辺りを眺める。正直、心が折れそうな気持ちだ。
せんぱいっ!!
「その声は?」
アンゼシカ(真美)の耳に、聞き覚えのある声。懐かしく、そしてその声に安心してしまう自分がいる。
ポケットの中から輝く光、私(真美)は取り出す。
その光の正体はペンダント。私(真美)と親友でもある後輩の絵葉の写真が載っているペンダントである。
せんぱい、私が光を差して案内します。あの子は向こうにいます。あの子を、奴から助けてあげて下さい………。
絵葉の声をした光のペンダントは真っ直ぐ光を差し、道標を作り出す。
「ありがとう絵葉。どうしてアナタの声が聞こえるのか分からないけど、また聞こえて嬉しいわ………絵葉?」
再び尋ねるアンゼシカ(真美)。
───しかし、ペンダントから絵葉の声は聞こえない。
(そうね、一時的なモノなのね………)
アンゼシカ(真美)は光差す道を走る。




