第370話 思い出す希望の光
───そんなモノか?人間よ?
それはあまりにも圧倒的、そしてあまりにも絶望的であった………。無限・シュバルツ・Diablosは聖剣クラウ・ソラスを片手で担ぎ上げ、禍々しい威圧感を漂わせて嘲笑する。
戦場に広がる青白い雷流をバチバチと発して輝きを放つ硝煙。カチ………カチ………カチ………と、永久機関の歯車による稼働音が戦場に響き渡り、先行きが見えない不安を乗せ、そして時の流れだけが残酷に過ぎ去っていく…………。
「くそ、全然ダメージが与えられないっ。なぁ、アンゼシカ?アンタが言っていた考えって何時になったら使うんだ?」
アレックスはロングソードを構え、尋ねる。
そう言われてもな…………と、アレックスの問いに、私(真美)は返す言葉がない。何故なら勝利出来る計算がない。余りにもルーズな話だが、ラスボスまで辿り着けば勝利してエンディングを迎える事だけを考えていて、Diablosは簡単に倒せるとタカを括っていた。しかしそれは甘く、ラスボスもあってか奴は強い。このままでは最悪、エンディングを迎える前にGAMEOVERエンドを迎えてしまう。
剣の交え合いは対等だが、ダメージが与えられない。このままではジリ貧になる。
(さて、どうしよう………)
大聖剣を片手で担いでアンゼシカ(真美)は考える。光の玉の試練って、受けたっけ?まず、全然覚えていないしこのままでは勝てない、どうしよう?
すると、タイミングを見計らうように。私(真美)のポケットから光が漏れる………。
「この光は?…………」
アンゼシカ(真美)はポケットに手を入れ、光っている(何か)を取り出した。
(何か)の正体、それはペンダントだった。ロケットのフタを開き、写っているのは私(真美)と中谷絵葉の写真が写ったペンダント。
「うっ…………これは?」
光るペンダントを眺め、思わずアンゼシカ(真美)は何かを思い出すように声を吐き出す。そして頭の中、見に覚えない光景が流れる。
★★★★★★
流れる内容は光の玉の試練の時、2人が過ごした日々だった。まずは最初、1人ぼっちの私(真美)がレンタルビデオ店にて、見たい劇場版アニメのDVDに手を伸ばしたら彼女と出会い、そこから楽しくて時に試されるような状況になりながらも様々な日々を送り、最後は自身が成さなければならない使命を思い出し、試練の最後にラスボスを倒す為に■■■や全てのキャラクターを出現させて光の玉を授かり、絵葉と別れを告げて元の世界に帰還した。
───アンタと過ごした日々は絶対に忘れない、楽しかった。さよなら、絵葉ッ!!




