第360話 夢から覚めるメルディ
「母さんっ!!」
そしてメルディの意識が戻って飛び起きる。
───場所は城の中にある比較的に異形化の影響を受けていない広間のスペース。そこにあるパイプベッドに寝かせられ、傷の手当てを受けていたらしい。私以外、多くの民間人がいて応急処置を施されている。
「イタタタタタっ………」
手当を受けた場所を押さえ、痛みに苦しむメルディ。重傷を負った肩、横腹に包帯が巻かれており、あれだけの出血があったもののしっかりと処置されている。
そう言えば戦いの最中、モンスターに投げ飛ばされてその後ろにあるクリスタルの壁に激突し、尖ったクリスタルに肩や横腹を貫かれ、重症を負った。そして意識が吸い込まれ………死の淵を彷徨う結果になる。
───しかし、あれは夢なのか?………。にしても、あの中に広がる光景はあまりにもハッキリしており、覚えている。周りには今まで戦場で殺害してきたであろう王国軍の兵士達の亡霊…………私はあの亡霊達を見て、今までの報いを受けようと進もうとした。
そこに行ってはダメっ。
夢の中、放たれたセリフを思い出してメルディは両手を眺める。
(母さんが、私を?………)
生きなさい。それが唯一、アナタに出来る報いである。と………。
───すると、救護している市民を眺めて回り…………そして私の様子を見に来たリーシャが。
「メルディさんッ!!」
涙を流し、無事に意識を取り戻したメルディに抱きつく。
「おい…………リーシャッ!!」
抱きつかれて恥ずかしい表情を浮かべるメルディ。
しかし、恥ずかしい表情のメルディに関係なくリーシャは涙を流して………。
「よかった、メルディさんが起きてくれて…………応急処置をしたのに、メルディさんが全然目を覚まさなくて私………」
彼女はよほど心配していた。応急処置をしても出血が止まらなくて………それで軽症の市民の人達に手伝ってもらい、何とか処置が施せた。
「やぁ、目を覚ましたみたいだね?」
───2人の前に駆け寄るのはホセ公爵。
「公爵様、ご無事でなによ、あイテテテテ………」
無事だった公爵様に敬意を払おうと、メルディは立ち上がろうとするが、ズキズキと行き渡る傷跡を押さえる。
「そのままでよい。君もご無事で何よりだ………」
「恐縮です」
メルディは敬意を示す。するとホセ公爵が、安心したような様子を浮かべる。
「彼女から聞いたよ、この戦いが終われば組織は解散するって………」
「はい………」と、メルディは返事。
「そう気を落とすでない。これからはもう血を見る戦いは無いのだから………君達もそれぞれ未来がある。それに進んで行くのだろう?。スアレスは王国の宗教や民族、伝統を布教する活動するらしいが、私も彼に協力しようと思う。それが祖先のクリス、そしてレオナルドの為だと思うのだから………」
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