第355話 思い返す日々
───アンゼシカ(真美)達を乗せた浮遊タイプの昇降機はフワフワと上昇して空中移動。そして壁に広がる一部のトンネルに入り込み、漆黒に広がるトンネルの中を進み込む………。
後ろを見ても、周りを見ても。飛行タイプのモンスターは追ってこないから安心だ。
(ついに、ここまで来たか…………)
辺りを眺め、そして色々あったな………と、アンゼシカ(真美)は思い浮かべる。
そして思った………生前、まるで子供の頃に遊んだ某遊園地の中にあるアトラクションみたいだと………。あの頃は親しい友達もいて色々なアトラクションに乗って楽しかったが今は楽しめる状況ではない。ここまで来たら生前や現在において、色々な思い出が流れてくる………。今は会えなくなっが、孤独な高校生活を送っていた私に良い意味で引きずり回してくれた絵葉。人と関わらない事を決めた私はあの頃、初めはアイツの事はうっとうしかったが一緒に登校したり一緒に昼ご飯を食べたり、一緒に下校して寄り道したり………私に友達とは何かを思い出させてくれたアイツ色々と感謝している………今は中谷絵葉は掛け替えのない親友だ。そんでこの世界に来て、ミリアや仲間達と出会い、共に修羅場を乗り越えた。ときにはミリアとはゴタゴタになり、気まずい仲になったが、その後は仲直りになっていつものように溺愛癖が復活して何よりだ。
本当に、色々あった人生だな…………と、アンゼシカ(真美)は思い返す。すると、さっきから黙っていたらアレックスがコチラを向いて………。
「どうした?さっきから黙っているが?」
アレックスは尋ねてきた。
「いや、何でも無い。ただ、ここまで来ると、少し緊張をしてな………」
アンゼシカ(真美)は誤魔化す。何故なら私の生前の事を言っても分からないからだ。
「そうか………この状況、アンタでも緊張はするんだな………少し意外だったよ」
アレックスは言った。少し失礼な気はするが………。
「ミリアさんが待っているからね」
「そうだな、アイツを救出して皆で帰ろう」
アレックスの掛け声に皆は(おおっ)と、一部「ガウッ」と返事する。
しばらくトンネルの中を空中移動をしていたから別の広間に辿り着き、昇降機はピタッと着陸をした。
皆は昇降機から降りる。そして周囲に広がるのは混沌とした景色だった。不気味な赤をした肉壁が広がり、その肉壁からは牙のような棘骨が隆起させてパキパキと咀嚼音を響かせる。天井には血管のような排気管が行き渡っておりドクドクと脈を打つ。所々には異様に孕んだ肉壁に行き渡り、まるで中には新しい命が宿っているかのように………。




