第352話 ホセ公爵を救護
───リーシャはクリスタルが広がる通過を息を切らして走る。メルディが瀕死状態、ホセ公爵の救出と言う任務。1人ぼっちで責任重大という重圧が気持ちに枷られ………リーシャは涙を流してひたすら真っすぐ走る。
生きていて下さい、メルディさん。と、願うのである………。
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しばらく走り、階段を降りた先の廊下。そこはかつて幾つもの牢屋が築かれている通路のハズである。しかしある光景が広がり、リーシャはその光景を見て驚愕した。
(これは…………)
それは、肉壁から伸びる触手に手足を拘束されている市民の人々である。
「これをエネルギーにして、この空間を維持していたのか………」
辺りを眺め、リーシャは奥の牢屋まで歩いて進む。
★★★★★★
奥の牢屋。肉壁の触手に手足を拘束されているのはホセ公爵。何時間前か、肉壁が出現して触手に拘束されてこうなった。リーシャは牢屋の扉に行き渡る触手を切断し、そして扉を開いて………。
「…………誰だ?」
ホセ公爵は意識を取り戻し、眺める。リーシャはホセ公爵の前で立ち止まり………。
「公爵様、助けに来ました」
リーシャは敬礼して言った。そしてホセ公爵に巻き付いて拘束している触手をブチブチと引きちぎり、解放する。解放されて軽く手首を回してストレッチし、リーシャに視線を向けて質問する。
「君は?………」
「はい、反民族支配主義の者のリーシャと言います。アナタを救出しに参りました」
リーシャの言葉に、ホセ公爵は何処か察した様子を浮かべ、重い声を出して口を開く。
「そうか………君がここに来たって事は、スアレスはもう、計画を実行したのだな?」
ホセは尋ねる。自身が気を失っている間にずいぶんと時間は進んだのだな…………。
「はい。組織は城下町の鎮圧に公爵殿の救出、そして最後は最上階に待つアンゼシカ・ヨハーソンの討伐を受けております」
と、リーシャは答えた。しかし組織は任務終了後、解散してしまうが………。
「そうか………」
ホセ公爵は沈んだ表情を浮かべる。何故なら反民族支配主義の人達がここに来たという事は計画は佳境に入っている事を意味する。そしてもう1つ沈んだ表情を浮かべる理由、実の娘がもうすぐ計画の為に殺されてしまうのだから………。
「とりあえず、まずは城から脱出しましょう」
「そうだな。私だけでなく牢屋には同じように閉じ込められている人達もいるだろう………その人達を救出しないとな」
「了解しました」
リーシャは了解し、敬礼。2人は牢屋に広がる肉壁から伸びる触手を切断。もしくは引きちぎり、拘束された市民達を救護する。
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