第351話 メルディ、瀕死になる
「メルディさんっ!!」
最悪な光景にリーシャは思わず彼女を呼び叫ぶ。嘘だ、嘘だ………と、頭の中を混乱させて状況を受け入れられない。
───ここよ。と、一言の声が放たれ。
グサリ………と、変異したオスマンの頭部にメルディが着地し、ショートソードをグサリと突き刺していた。頭部からは青い血が噴出してクリスタルが行き渡る天井、地面に広がる。青い血を流していると言う事は人間が魔物化した証であり元には戻れない。
無事だと確認したリーシャは叫ぶ。
「メルディさんっ!!」
リーシャは歓喜。最悪な混乱によって氷結した精神状態を、目の前の光景により溶解させる。
───ヲノレェェェェェェッ!!
ブンブンと暴れる変異したオスマンは激痛により悲痛な叫び声を響かせ、頭部に跳び乗るメルディを振り落とそうとする。
そして、メルディは握っているショートソードを離してしまい、振り落とされて吹っ飛ぶ。
───クリスタルの壁に激突し。
「ぐあああああああっ!!」
メルディは後ろのクリスタルのトゲ柱に横腹、右肩が突き刺さり、出血が噴出して地面に広がる。状態は出血多量による瀕死。激痛や出血多量により意識が霞んで来た。
「メルディさんっ」
リーシャは再び呼び叫ぶ。
───グヲヲヲヲヲヲヲヲっ………。
変異したオスマンは頭部から出血してドサッ………と、クリスタルの壁に倒れ伏して破片が広がる。
リーシャはメルディに駆け寄る。
「メルディさんっ!!」
「アッ…………私は大丈夫だ。お前は、牢屋に閉じ込められているホセ公爵様の救出を………」
「しかし、怪我しているメルディさんを放っておいた………」
メルディの怪我の状態を心配するリーシャ。横腹、右肩からはドクドクと血が行き渡り、クリスタルの地面を赤く染める。
───メルディはゴフッと吐血し、怒号を浴びせる。
「良いから行けっ!!お前の成す事を成せっ!!」
メルディは血を吐きながら言った。私はここで置いていけ。と、意味している。ボスから任された任務はホセ公爵の救出だ。今は生きている者が、任務を達成しなければならない。メルディの様子にリーシャは涙を飲み、そして………。
「………分かりました。必ず怪我の手当てはします。それまで意識をしっかりと保っていて下さい」
リーシャはメルディの場から立ち去り、クリスタルの通路を走る。
メルディは横腹から滴る血を右手で濡らして眺める。出血多量で意識が霞んで来た………。
「ダメだ………出血が多いから助からないな………」
メルディは呟く。父さんゴメン。母さんの所に………。
───そして、メルディはガクッと意識を失った。
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