第350話 真紅の迅雷撃(クリムゾン・ジン)
グッ…………ヲヲヲヲ………。
白銀の獅子の突進に変異したオスマンとぶつかり合う。周囲の地面に隆起して広がるクリスタルは衝突し合う地鳴りになり、ピキッと音を響かせる。そして天井に伸びるクリスタルはパリンと音を響かせ、落下する。
───白銀の獅子は噛み付き、振るう獣爪で異形のオスマンの身体に引っ掻く。
フンっ!!
すると変異したオスマンは息を吐き、両腕の筋肉をビキビキと隆させて力強い腕力で白銀の獅子を投げ払う。地面に行き渡るクリスタルを巻き込み、破壊。
「ハァっ」
降り注ぐクリスタルの破片の中を突っ込み、リーシャは尺棒を片手で構えてジャンプし、変異したオスマンの頭部を狙って振るう。
ガアっ!!
変異したオスマンは左爪を振るい、リーシャを弾き払う。
「リーシャ、無謀過ぎるぞっ。お前は召喚獣で私のフォローしろっ」
メルディはそう吐き、ショートソードを構えて変異したオスマンに向かって駆ける。縦横無尽、得意のスピードで相手の視界を錯乱させる。残像が見えるほど、常人相手なら見切れない。
───ござかしいっ!!
左爪を振るうオスマンはメルディに爪撃を放ち、グサリと貫通。しかし………。
それはメルディの魔法、疑似人形だ。すると今度は左側から………。
───変異したオスマンは左側に爪撃を与えて串刺しに………しかし、またしても疑似人形。
そして次………3体、4体、5体。斬りかかるメルディの残像が右、上、正面から突っ込んでくる。
変異したオスマンは両爪を振り回し、3体目、4体目、5体目のメルディを切り刻む。地面にはズタズタに刻まれたメルディの疑似人形が行き渡る。するとそのタイミングにて………。
───そこで白銀の獅子が正面から突っ込む。
ガアッ!!
白銀の獅子の体当たりを受け止める変異したオスマン。
「戻れっ」
リーシャは白銀の獅子を召喚状態を解除して消失させる。
「よくやったリーシャ、後はこの一撃を与えるから………」
メルディは両手のショートソードを前屈みの体勢で構え、極限まで集中させる。全身から漂わせる赤黒い威圧感、鋭く光る瞳。それは赤い雷のように………疾風迅雷。
───来るか、なら掛かってこいっ!!
激昂し、変異したオスマンは両爪を振り回して吐き捨てる。
「コイツで貴様は終わりだ。そして貴様に葬られた同胞達の元に向かうんだな………」
そして………メルディは突っ込む。全身からバチバチと青い稲妻を発し、真正面から一撃を与えようと………。変異したオスマンは左爪を光らせ。
───真紅の迅雷撃っ!!
メルディは奥義を叫ぶ………しかし。
残酷な光景だった………変異したオスマンの左爪にメルディの身体が貫通して串刺しになっていた。
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