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第342話 封印の剣を引き抜くミリア







───ミリアは冷たい銅のドアノブを掴んで扉を開き、城の最上階にある封印の間に足を踏み入れる。この時をどれほど待っていたか………城を追放されて先々で色々な光景を見て、学び、経験して。様々な感情を沸騰させる。


 部屋全体は青銅造り。静寂な雰囲気による寒さが全身に行き渡り、戦闘により灼熱した心を包み込む。


 ミリアは灼熱した心を静寂な雰囲気に包み込まれ、先程とは打って変わり………ゆっくりとした足取りで歩いて進む。


   ミリア…………さま。

     助け、て…………鎖を解き、私を………。


 心の中、求めるように聞こえるのはアンゼシカの声。何故だろう?自身がどれだけ望んでいた事なのに………不思議と落ち着く自分がいる。


 ミリアは部屋の最奥に向かって歩き、そして立ち止まる。何故なら目の前には…………。


(ああ………やっと………)


 ミリアは視界に映る光景に、ボロボロと涙を流していた。


───出会いは幼少の頃から。母上を喪い、教育係として紹介され、初めはお互いヨソヨソしくて恐かったが、次第に心を通わせる仲となる。色々な場所に連れて行って貰い、時に優しくて時に厳しい方であった。


 彼女は私にとっては憧れであり、強い女性として理想である。私は彼女の事が好きだ、憧れという形で。


 しかし………突然として私は城から追放され、その理由は先代から現代までの王族に取り憑いているdiablosディアブロスから国を救うためだと、ヨハーソン邸にある歴史書を読み、後に知った。


「会えた………やっと………お姉様」


 その光景を見てミリアは立ち止まり、涙が止まらなかった。祭壇にて、黒い鎖で十字架で拘束されているのはアンゼシカ・ヨハーソン。瞳を閉じて意識のない彼女を見たら、幼少からの思い出が頭の中を流れてくる。


  ミリア様………会いたかった。

    やっとここまで辿り着きましたね………。


 ミリアの心の中に響き渡るアンゼシカの声。この場所に辿り着き、祝福のセリフに浴びてさらに涙を流す。


「………アンゼシカお姉様………お久しぶりです」


 ミリアは感極まり、拘束されて意識のないアンゼシカの頬を撫でる。あの頃の、あの時のままだ………と。


   ううっ………ミリア様っ


「お姉様っ!!どうしたのですか?苦しいのですか?」


 苦しむアンゼシカの声に反応。ミリアは鎖を掴み、尋ねる。


   苦しい………助けてくださいミリア様………。


「お姉様、お姉様っ………」


 ガチャガチャと鎖を揺らし、どうすれば良いか考える。


   その剣を、クラウ・ソラスを引き抜いて下さい………そうすれば、解放されます。


「この剣が?………待っていて下さい」


 ミリアは祭壇に突き刺さっている聖剣クラウ・ソラスを掴み、引っ張る。そして………聖剣クラウ・ソラスは抜け、光に包まれる。


 ★★★★★★


 一方、ミリアの部屋にある書物はページが開き、漆黒に文字が禍々しく記入される。


 ★★★★★★


 それは幸せな光景だった………麦畑にて、やっと会えたアンゼシカ・ヨハーソンにミリアは涙を流して抱きついた。


 よく頑張りましたねミリア様………。と、アンゼシカは抱きつくミリアの頭を優しく撫でる。


「あのね、お姉様………」


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