第33話 懐かしい依頼
───依頼後。ギルド専用の馬車に搭乗し、ミリア達は中央都市アフタヌーンを2時間掛けて戻るのである。
ガタガタと馬車に揺られ、外は広大な平原や険しい山脈が広がり、まるで叫びたくなるような世界だ。大空には雲、そして荒々しい風が神の息吹のように轟音を響かせる。
★★★★★★
───〈冒険者ギルド・酒場〉───
「報告ありがとうございます。皆様、お疲れ様でした」
受付カウンターのスペンスは親切な姿勢で応える。依頼状の用紙に(完了)と、判子を押し、片付けた。次に報酬金の3万svが入った袋をスッと手渡す。
「ありがとよ」
アレックスは受け取る。
「ミリアさん、もう仕事は慣れましたか?」
スペンスは尋ねる。
「はい、おかげさまで」
「最初とは違って顔つきが変わりましたね。たくましくなりました………」
「そうですかぁ?」
スペンスの言葉に、ミリアは頭をポリポリ。
何故なら自覚はあまり無い。皆に付いていくのが必死であり、大半が命に関わる事ばかりなので、実力がないと生き残れない。
「ま、コイツの成長は光るもんがある。クラーケンとの戦いでも、結構活躍してたぜ」
アレックスはミリアの頭をポンと撫で、称える。
「そういう事です」
ミリアは頷く。
「………他に変わった事は無いですか?例えば、前に報告した例のグループとか?」
「今回は現れなかったな………」
アレックスは他の皆に聞く。そして皆は軽く頷き、答えるのである。
「そうですか………」
スペンスは眼鏡をクイッと整える。
報告を済み、スペンスは次の冒険者相手に取り掛かるのである。
皆は依頼掲示場をジロジロと眺め、次の依頼を探すのである。アレックスとデビッドは冒険者Bランク、サウルはcランク、ミリアは新米のFランクだ。
冒険者はランクアップするには数々の依頼を達成するのが条件だ。ランクアップすれば依頼のレベルがアップし、受け取る報酬金がアップする。
そしてミリア達のグループランクは、現在Bランクである。
ミリアはとある依頼用紙を眺める………。
(エステル草の採取………懐かしいなぁ)
ミリアは思い出に浸る。
この依頼は安い為、新米冒険者が主に受ける仕事であり、高ランクの冒険者は受けない。
あの時は殺されかけ、マスク・ド・aに出会った。再びこの依頼をしている途中でアレックスさんとデビッドさんに出会い、飛竜を撃退したりと、嫌な思い出と良い思い出がある。
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