第333話 ミリアへの思い
───そして9時。中央都市アフタヌーンにて、アレックスを含めた市民達は避難民の救護活動をしていた。未だに後が絶たない避難民、中央広場中には負傷者、宿屋は満員により受け入れられない為、謝肉祭で使う簡易テントにて、負傷者を寝かしていた。
言うまでもないが、謝肉祭は中止。それは状況が証明している。
中央広場にて………。謝肉祭の参加する屋台経営者が避難民の炊き出しを実施。ゴチャゴチャとした避難民が行列を作り、それを整える為。
「押さないで下さい、まだありますから。落ち着いて並んで下さいっ」
炊き出しを手伝いつつ、腕まくりをしたアルフレッドが額から汗を流し、慌ただしい行列者に向かって大声を出して引率する。噴水広場の円縁に座る避難民、そこに少女が温かいスープを持って駆け寄る。
「これ、どうぞ。暖かい食べ物です」
「ありがとう………」
クリスティーナは負傷して並べない避難民に温かいスープが注がれた紙皿を差し出す。
「お姉ちゃん、ありがとうっ」
額に包帯を巻いた男の子はクリスティーナにサンドイッチを差し出され、頭を下げる。
「ひっぐ、ひっぐ…………おうちが、大きいモンスター、怖いよ………」
「大丈夫です、私がついてますよ」
城下町を襲撃してきたモンスターの恐怖で泣いている女の子の肩をトントンと叩き、励ますクリスティーナ。
★★★★★★
「それでは、行くとしましょうか………」
アンゼシカ(真美)は言った。それは決意のある姿勢、これからミリアさんを救いに………と。
「こうなったら、最後まで付き合うぜ。アイツは仲間だ、分かりやすいくらい真面目で、そんで失敗したら落ち込むし、それでも幾度の困難を一緒に俺達と乗り越えてきたんだ。元女王とか関係なく、俺はアイツを救いに行くよ」
「アレックスさんと同意見です。彼女は私達と共に依頼をこなし、時には成功したり、時には失敗したり。そんな場数を進んで来ました。私も同行します」
デビッドは主張。
「俺は、アイツとは言い争いはしたけど、共に酸いも甘いも経験して、仲間の大切さを教えて貰った。だから今度は俺が、アイツを助ける番だから………」
「お前、普段はぶっきらぼうなのに、変に良いことを言うじゃねぇか?」
サウルの言葉に、アレックスは彼の頭を撫でる。それに対し、サウルは(うるさい)と、一言。
「この時間ですと、ミリア様達はおそらく王都に辿り着いて、襲撃を開始しているでしょう………ここから王都までは3時間は掛かります。早く合流しなければ、ミリア様やグループの人達、後は牢屋にいるホセ様が心配です」
ロメロは腕を組み、悩む。急がなければ壊滅してしまうからだ。




