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第332話 地獄と化する王都






───そして………城下町にて。


 大通りをフラフラと歩いているのは鼻歌を歌い、酒瓶を持った酔っ払いのオジサン。夜明けの前の朝空を気持ちの良い感覚で眺めながら………。夜闇に広がる雲から朝日の光が差し、心地よい風が吹き付ける。

 

 その時、城の最上階から光。


「何だぁ?………」


 オジサンは鼻をズルズルと拭き、酔っ払った瞳で城の方に視線を向ける。


 城から発生し、空から城下町に向けて降り注ぐ禍々しい光。禍々しい光は景色をグニャグニャと歪ませつつ肉質な音を響かせて異形化し、建物を紫の肉壁に変異していく………。


───その景色は不気味。いや、不気味すら生易しいと言える………。全体的に広がる紫の肉壁、空気中には赤い瘴気が充満し、所々に発生する歪な形をした巨大な樹木や得体の知れない四季彩の花。そして毒々しいピンク色のデカいツボミ花が生え、人が呼吸するような動きで花粉を発生させる。肉壁はまるで活きているかのように、ドクドクと脈を打って胎動している。


 伏魔殿パンデモニウム。それがこの景色の名前である。夜明け前の空は、夕方とは違う色をした赤色に広がり、それは血のように………。


「何だコリゃっ…………!!」


 突然の状況にオジサンは驚愕して尻餅を着いてしまい、カタカタと身体を震わせる。それにより酔いが覚め、辺りを眺めたら………。


───空中、肉壁や地面から詠唱陣が発生し、そこから悪魔系のモンスターである小型悪魔リトルデーモン、または骸骨騎士やゾンビ、邪悪なゴーストが次々と姿を現した。モンスター達はオジサンに威圧感を漂わせて歩み寄り………。


「うっ………うわぁーーーーッ!!」


 現れたモンスター達を前にし、オジサンは断末魔の叫び声を響かせる。その後はどうなったかは知らない………。


 ★★★★★★


───イヤァーーーーッ!!


 城下町中、いやかつて城下町だった異形の景色に断末魔の叫び声が響き渡る。突然に状況が発生し、肉壁と化した建物から次々と飛び出して逃げ惑う人々。外にいるモンスター達に殺される人々、モンスター達に捕まって何処かに連れて行かれる人々………。


 この世の地獄、そう表現すれば納得出来るだろう。


───モンスターに逃げ惑う人々、次々と殺される人々、次々と捕まって連れて行かれる人々で溢れ返る。そんな城下町の景色を一変させ、その光景を城の最上階にあるテラスから………。


「フハハハハハッ!!美しい、これが伏魔殿パンデモニウムかっ!!」

 

 オスマン陛下代理は、全身から禍々しいオーラを漂わせ、高々に笑い上げる。その笑い声はあまりにも人からかけ離れており、悪魔である。

 

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