第331話 禁断の魔法、伏魔殿(パンデモニウム)
───時刻は3時間前、まだ国民が寝静まっている時間である………。場所は王都に構えている城にて。
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オスマン・ガルシア大臣兼陛下代理は石造りの階段をコツコツ………と静かな足音を響かせて登る。
───そしてガチャ………と、重くて冷たい扉を開き、城の最上階にある(封印の間)に足を踏み入れていた………。彼のその様子はあまりにも異質で禍々しい。全身からは悪魔のような漆黒の威圧感を漂わせている。
扉の向こう側、最奥には禍々しい光を発生させる。
コツ………コツ………コツ………とゆっくりとした足取りで歩み寄るオスマン………。
祭壇には封印された聖剣であるクラウ・ソラスが紫色の鎖に繋がれて安置されている。ガルシア陛下代理は両手を掲げ、禍々しい言葉を放つ。
「忌々しい奴に封印されたが、心を支配した奴の長きに渡る支配により、人々の怒り、憎しみ、悲しみがここに揃った………。あとは宿主である者がここに訪れるだけだ………すぐに、我は復活する」
ガルシア陛下代理は取り憑かれたような不気味に声を響かせ、ケラケラと笑う。
───封印された聖剣クラウ・ソラスはオスマンの願いに応えるかのように………漆黒のオーラを炎のように激しく燃え盛らせる。炎と化した漆黒のオーラは悪魔の巨影を作り、嘲笑するかのように………。
「さて………始めようか………」
オスマンは封印された聖剣クラウ・ソラスを前に立ち、両手を広げる。
───同時に応えるように、聖剣クラウ・ソラスは強く禍々しい光を発生させ、バチバチと漆黒の雷流を屋内全体に行き渡る。
オスマンは叫ぶ。
「さぁ、長い年月により集約した全ての(怒り)(憎しみ)(悲しみ)よ。終焉の神Diablosの名の下に、あるべき姿を解放せよっ!!」
───そして聖剣クラウ・ソラスから禍々しい光は封印の間から放出し、王都全体に放たれる。
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その頃、地下牢にて………。
「………まさか、この感覚は」
パイプベッドで横たわり、目を覚ましたホセ公爵は思わず声を響かせる。周囲の壁の隙間の影からケラケラと嘲笑されているかのような感覚に、冷や汗が滴る。
伏魔殿それは人が発動してはいけない禁断の魔法である。周囲を闇属性の魔力で異形化させつつそして悪魔を生み出し、そして人間を喰らう。
バキバキ………と、牢屋の景色がグニャグニャと歪み、変異していく。
「クソ………何て事を、まさか禁断の魔法か………」
ホセの足、両手が肉の壁から伸びる触手に捕まり、そしてグニャグニャと肉質な音を響かせ、壁に吸い込まれていく………。




