第328話 そして王都へ、走る
───そして次の日。起床してミリアとフィリーは構成員に案内され、スアレスのいる昨日の場所に呼び出された。そこにいたのは幹部の人達、ハルバート使いのガレッド、双剣士のメルディ、召喚師であり棒術使い、サウルの妹のリーシャ、そしてコチラは初対面の魔導師のライアンだ。
真剣な雰囲気がピリピリと行き渡る。これから行われるのは組織全体で王都に進行し、陛下暗殺と言う名の戦争阻止の作戦である。またの名は、クリス・ヨハーソンの悲願でもあるDiablosの撃破だ。
「起床して早々、呼び出してすまなかったな」
スアレスは言う。
「アンタとはこんな状況で再会するなんて、世の中分からないな」
言ったのはメルディ。この前、とある依頼で彼女には殺されかけたり、そして逆転勝ちした。
「俺の事は、覚えているか?」
ガレッドは言う。確か、牧場の手伝いをしていたら襲撃してきた者だ。
「アタシは、町の謝肉祭以来だったよな?」と、リーシャは腕を組む。
「皆さん、お久しぶりです」
ミリアは改めて皆に一礼して言った。場所、状況、立場はこの間までは違ったが、今は仲間になる。
「………これからの段取りを説明する。君も参加する事になる。良いか?」
「はい」
スアレスの言葉にミリアは答えた。
★★★★★★
───そして作戦を。いや、計画を説明すると言った方が正しい。スアレスは卓上テーブルに王都の地図を広げ、赤と白と緑の3つのコマを地図に置いて説明する。
「計画は簡単だ。まずは王都に進行し、街を制圧する部隊とホセ公爵を救出する部隊、そして………アンゼシカ・ヨハーソンを撃破する部隊に分かれ、実行する」
スアレスは赤、白のコマを地図に記されている城下町に置いて、さらに白のコマを城の位置に移動させる。最後、緑のコマを城の最上階に移動させる。緑のコマはミリアを意味し、そこで彼女なりの責任を果たす事になる。
───了解。と、皆は返事する。
「その前、向かう途中にある街道に合流地点がある。そこで同胞達と合流し、城下町に向かう手筈だ」
スアレスは説明する。
(…………)
ミリアは沈黙する。そして両手を眺める。この手でアンゼシカお姉様を………。考えていたら悲しい気持ちが沸騰し、震わせる。その様子を見たスアレス、ミリアに対して口を開く。
「ミリア姫よ。君ならではの責任を果たすのだろう?しっかりしたまえ」
スアレスは厳しい口調で伝えた。
★★★★★★
───時刻は午前9時30分。スアレス率いる部隊はアジトを後にし、皆は軍馬に乗って王都に向かって走る。
(待っていて、アンゼシカお姉様っ)
ミリアは軍馬に跨がり、駆ける。漆黒の瞳を輝かせ、全身に禍々しいオーラを放つ。




