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第325話 アジトに案内されるミリア




 かれこれ中央都市アフタヌーンから数時間の距離。岸壁にある洞窟入口の前、そこに馬車は停止した。構成員が馬車の扉を開いて声を出す。


「着いた、外に出ろ。ボスがお呼びだ」


 扉を開いた見張りの声に、フィリーとミリアは黙って馬車から降りる。役目を終えた馬は馬小屋にて戻される。


 景色は崖壁が映っていた………まるで人生に立ちはだかる壁のように、入り口前には松明が設置されてパキパキと炎を登らせる。フィリーから少し説明されたがここは王国の地域ではない、ノーザンブリア共和国の東部地域にある崖壁だ。


───見張りの構成員に引率され、フィリーと辺りを眺めるミリアは洞窟の中に足を踏み入れる。


 ★★★★★★


 洞窟の中を歩く2人、土壁には松明が掛けられていて道を照らしている。


「足元を気をつけてねミリアちゃん」

  

 フィリーは言う。


 しかし、フィリーの言葉にミリアは軽く返事をして歩く。今でもフィリーの所業に受け入れられない自分がいて、聞き入れない。あの親切な笑顔を浮かべ、それで皆にウソをついてギルドの情報を流出させて多大な被害を受けた者がいるから………。


 道は整備されており、虫一匹すらいない。幾つもの道として分かれており、それぞれ役割を果たしている部屋として活用されている。武器、食糧や居住部屋などに使われているのだろう。


 ★★★★★★


───しばらく歩いていると広い空間に出た。地面には絨毯じゅうたんが広がり、最奥にはある人物がイスに座っていた。


 見張りの構成員とフィリー、ミリアはその人物の前まで歩み寄る。


「ボス、連れて来ました」


 見張りの構成員は敬礼。


「ご苦労。ま、気楽にしてくれ」


 見張りの構成員は一礼して立ち去る。


「ボス、ただいま戻りました」


 フィリーは緊張した様子で報告。


「よく来てくれたな。アンタがあれか?王国で王族をしていた………例の姫君か?」


 その人物はイスから立ち上がり、口を開く。容姿は50代、長身にボサボサとした黒髪の長髪、生やしたヒゲ。ガッチリした体格に上着として着用する毛皮のコート、下は布ズボンに足に革のブーツ。


「ミリアです。ミリア・ミア・シュバルツです」


 ミリアは自己紹介。今は追放されて王族ではないが………かつて王族として使っていた名字が何とも皮肉である。


「ここに連れて来られたって事は、部下達から聞いているだろう?」


 ボスはスッとイスから立ち上がり、低い声で尋ねる。


───ミリアは緊張感がピリピリと伝わり、額からはアセが行き渡る。低い声から漂わせる雰囲気、まるでかつて生きていた父上のような緊張感に似ている。

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