第317話 ぶつかり合う意地
観客席にいる人々は静寂に包まれ、そして音楽団は楽器を構えてクラシカルな演奏を開始。バイオリンやトランペット、ピアノとハープといった楽器だけでなく、独特な形をした太鼓や角笛、ウクレレなどの民族楽器を織り交ぜた民謡曲となっている。
───ステージ上にて、12名の参加ペアは踊りを披露する。しかし演奏曲についてそれは聞き覚えがあるモノである。何故なら………。
この曲って確か………。
観客席にて、ザワザワとする人々もいる。演奏曲を聞いていたサウルは思わず口にしてしまう。
「コイツは古い曲だな………確か(星振る夜、誓いを込めて。)か………」
サウルは思い出す。それはかつて存在した2大民族である(ファフニール族)と(クウガ族)が互いの宗教や伝統、文化を尊重する為、親睦の証として生まれた曲である。それはサウルがよく小さい頃、母親から子守り歌として聞かされた事がある。この時代で聞く事はなくなったが、何処か懐かしさを感じる。
───ダンス披露中、ステージにて。
(この曲は………星降る夜、誓いを込めて。か………)
アルフレッドとダンス中、リーシャは演奏曲に反応。よく子守唄として母親が歌っていた。しかし、その演奏曲は世の中から消え、母親も教育学校で獄中死により亡くなり、それは叶えられない。
★★★★★★
そして………参加ペア達は(星降る夜、誓いを込めて)の演奏曲に合わせ、それぞれのダンス技術で独自の世界観を体現する。
(私も、少し本気を出そうかな………)
ミリアは対決心を燃やし、ウィンクしてアンゼシカ(真美)にアイコンタクト。それに対し、アンゼシカ(真美)はコクリと頷く。
ミリア、アンゼシカ(真美)のペアは華麗な足さばきを披露。お互いが互いの動きやクセを知り尽くし、求愛する白鳥のような世界観を体現している。
(ミリアさん、さすがのダンス技術ですね………)
デビッドはさらにスピードある足さばきを展開。デビッド、ソフィアのペアは柔と剛を意識したダンスを披露し、柔らかい足さばきのデビッドに対し、容姿とは裏腹に力強い動きでフォローするソフィア。それが、お互いがお互いを支え合うハーモニーを表現していた。
(リーシャさん)
(分かってる、私達もさらにスピードを上げるからリズムを崩すなよ………)
そしてアルフレッド、リーシャのペアはアクティブな足さばきのダンスを披露。キラキラとした僅かな汗飛沫が広がり、まるで夜空を交錯する流星のように………。
───そして、テーブル席には採点員が厳しい眼差しで参加ペアのダンス技術を採点。
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