第316話 決勝ステージ
───休憩時間が終了し、決勝ステージに進出した参加ペアは再び会場に足を運ぶ。会場の観客席には大勢の人々が席に着き、これから始まる決勝ステージのダンスに、観客達は興味深く見守る。
そして惜しくも決勝ステージに進出出来なかった参加者達も観客席から眺めつつ果たせなかった結果を託す形で見守り、謝肉祭の(習わし)を見習い、技術より楽しむ事をメインにして多くの人達はその伝統を守り、後世に引き継いでいる。
★★★★★★
ただいまより、各グループから進出した参加ペアによる決勝ステージのダンスを開催致しますっ
会場アナウンスの声が響き渡る。同時に客席からは拍手が響き渡る。
───ステージ上に、決勝進出した参加ペアが入場し、観客席に向かって手を振る。
観客席に集まる人々がさらに緊張感を煽り、ピリピリと行き渡る。そしてステージ上にて参加ペアが配置される。
「頑張りましょう、マスク・ド・a様………」
自分の前に向かい立つアンゼシカ(真美)にミリアは呟きかける。ミリアのセリフに私(真美)は………。
「承知、存分に楽しみましょう」
アンゼシカ(真美)は応える。
「デビッドさん、頑張りましょうね?」
「今回は、皆様がライバルです。やるからには、全力で舞って頂きましょうソフィアさん………」
デビッドは言った。すると観客席から………。
───お母さん、頑張ってぇ~~~~ッ!!
大きく手を振り、小さな翼の応援する声が聞こえてくる。飛竜の為、出す声が大きくて良く聞こえ、観客席にいる人々の声を突き抜けている。
「小さな翼。応援ありがとう、お母さん、頑張るからねぇ~~~」
ソフィアは観客席にいる小さな翼に手を振って応える。
(ヤバい、緊張が………)
アルフレッドは緊張感を張り巡らせ、ガタガタと震えていた。ステージを眺める大勢の観衆がプレッシャーとなり(結果)と言う文字に支配されていた。喉が渇き、吐き出しそうな気持ちになる。しかし、自分が選んだ道、責任を果たさなければ………。
「何だ、緊張しているのか?」
「そんな事はない。これは………楽しみからくる震えだ。決して緊張しているわけでは………」
リーシャの質問に、アルフレッドは正反対の言葉で答える。アルフレッドの言葉にリーシャは落ち着いた声を投げ掛ける………。
「失敗しても良いから………その度に私がフォローするからさ」
リーシャはアルフレッドを落ち着かせるように、カチカチな気持ちを安心させるように言った。
「ありがとう………それで、優勝出来なかったら?」
「それは殺す」
「アハハハハ、ですよね………」
やっぱり、おっかない。




