第309話 小さな翼(リトルウィング)の母
「え、小さな翼のお母様?」
ミリアはその容姿にビックリする。見た目がかなり若く、まるで年が離れた姉のような雰囲気だ。男性達にアプローチしたらおそらく一目惚れ注意。しかし、正体が飛竜だと知ったら受け入れられるかどうかの試練である。
「お前もとうとう魔法を勉強し過ぎて、変な思考に目覚めたか?」
アレックスは嘲笑して尋ねる。いつも変なボケに振り回されている為、今回は笑ってやるつもりだ。
「失礼な。彼女とは通りで会った仲だ。娘の捜索を兼ねた観光案内をしていたに過ぎない」
デビッドは正当性を主張。けど、意識してないと言えば嘘になるが、それは言わない。
「おかぁ~~~さぁ~~~ん」
どんな種族でも、子供は母親から離れたら恋しくなる年頃だ………小さな翼は甘える。するとソフィアはアレックス達に向き………。
「あの………うちの娘が迷惑を掛けていませんか?」
ソフィアは尋ねる。
「迷惑ってな………」
う~んと、アレックスは頭をポリポリと掻いて色々と思い浮かべる。そりゃ、食欲はハンパないし、財布が何度もピンチになったり………あとは掴まれて空を引き回されたり、迷惑など数え切れない程ある。しかし、助けられたりした事もある。
───何を言われるのだろう?と、小さな翼はめっちゃ見てくる。
「迷惑は掛けてないし、むしろ助けられている。仕事上、モンスターの討伐とかあるし、めっちゃくちゃ働いてくれています。あと、空気を和やかにしてくれたりして、妹みたいな存在です」
アレックスは言った。
「アレックスゥ~~~~っ」
アレックスの言葉に嬉しくなり、小さな翼は抱きつく。
★★★★★★
その後、アルフレッドとクリスティーナも中央広場に合流し、色々な縁で巡り合った仲間達がゾロゾロと集まる。しかしクリスティーナに異変が………。
「ううううっ………」
クリスティーナは表情を青ざめ、片手でお腹を抱えていた。その様子にミリアはアルフレッドに心配に問うのである。
「クリスティーナさん、どうかなされたのですか?」
ミリアの質問にアルフレッドは特に心配はなく、何気ない感覚で答える。
「その、食べ過ぎによる腹痛です」
クリスティーナ、あれから色々な屋台に目移りしてパクパクと食べ歩きをしていた。それにより腹がギュルギュルになり、都度お花摘みに足を運ぶハメになり、この結果である。するとクリスティーナ、青ざめた表情で口を開く………。
「私ながら、食べ物に当てられるなんて情けない限りですわ………すいません、少しお花を摘みに行って参りますわ」
クリスティーナはまたしても厠に向かう。
「大丈夫か?………これに懲りたら、食べ歩きはもっと考えてやるんだな」
と、クリスティーナに忠告。そしてアルフレッドは、ぎこちない足取りのクリスティーナを介抱して厠に向かう。
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