第306話 デビッドと謎の女性ソフィア
───その頃、デビッドは南の大通りを歩いていた。謝肉祭期間中により、道沿いにはゴチャゴチャに賑わう人々に様々な露店が並び、大道芸人によるパフォーマンス。
「たまには1人も良いですね………」
1人にて、フラフラと観光するデビッド。賑やかな光景に、何処か高ぶる気持ちにはなる。しかし、自身は賑やかに動く性格ではない。
そしてフラっ………と、ある露店に立ち寄る。
露店にて、販売しているのは詠唱文字が記された怪しい薬瓶に高価な薬草にキノコ、魔法や錬金術に使われる得体の知れない素材や魔法書物が並んでいる。
「いらっしゃいまし」
漆黒の神官服を着用した店主は、独特な雰囲気を漂わせ、応対。
「ふむ、興味深い商品ばかりですね………」
商品を眺めるデビッド。しかし、どれも優しくない値段で取り引きされている為、高い。
───とりあえず、魔法系の書物と怪しい薬瓶、あとにゅるにゅるした触手が入った瓶を購入した。魔法の会得とアレックスへの愛情表現と言う名のイタズラ。これをネタにロメロと話すのが楽しみだ。
「あの、すいません」
後ろから声。反応し、デビッドは振り向く。
「おや、私に何かご用ですか?」
デビッドは尋ねる。
そこにいるのは麦わら帽子を被った女性である。容姿は20代後半?スラッとした桃色のロングヘアーに赤い瞳。服装は長袖の白のワンピースに、何処か人間とは思えない雰囲気を醸し出している。
───この雰囲気、もしかして………。と、デビッドは女性を軽く眺めて推測する。
「私はソフィアと言います。その………娘を探していて、一緒に探して貰えないでしょうか?」
女性のソフィアはお願いする。するとデビッドは………。
「いいでしょう。その、もしよろしければ娘さんの捜索を兼ねて町を案内をしますよ」
「ま、その………ありがとうございます」
ソフィアは頭を下げる。
★★★★★★
────というわけで、デビッドとソフィアは道案内を兼ねたデートをする。
「やっぱり、人が多いです。今日は祭りか何かですか?」
ソフィアは尋ねる。
「そうですね、今日は収穫や感謝を兼ね、年に1度の謝肉祭です」
「何か、どれも新鮮で、思わず目移りしてしまいそうです………」
ソフィアは大通りを行き交う人々や様々な露店をキョロキョロと眺めるのである。
「あまり眺め過ぎて、迷子にならないように………って、言ってるそばから………」
デビッドはため息。何故ならソフィア、大道芸人のジャグリングに足を運んでいた。そして一緒に見る事になる。ま、普段は興味はないが、せっかくの謝肉祭だから見てやってもいい。
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