第305話 ヨハーソン邸の出来事を話すミリア
ミリアとアンゼシカ(真美)は、謝肉祭でゴチャゴチャとした賑わいを見せた中央の大通りを歩いていた。道沿いには様々な露店が並び、大道芸人のショーなどが行われ、人々が集まっている。
「しっかりした子達でしたね………」
ミリアは言う。
カイエン家の兄妹貴族、お転婆なクリスティーナ、それをフォローする生真面目な長男のアルフレッド。私はこの2人には色々と教えて貰ったモノだ。
───もし、あの2人に出会わなければ自分はと思うと、怖くて考えられない………。
「考え事かい?」
アンゼシカ(真美)は尋ねる。
「すいません、あの二人の事を考えていました」
ミリアは言った。
「彼女達は、君は知り合いかい?」
と、再び尋ねる。本当は知っているが、そこは言わない方が良い。ここは何も知らない、初対面の体でいた方が良い。
「ロメロさんと一緒に行った使用人の依頼で知り合いました………そこで2人には、勇気を教えてもらいました」
「うむ、それは結構な事だな………」
アンゼシカ(真美)は軽く頷き、曇った感覚で納得する。こっちは色々と知っている身、言えないという辛い気持ちになる。
───何故ならこっちは、その使用人依頼において様々な衣装に扮装してミリアを影からサポートし、見守っていたとは言えない。
するとミリアは首に着用したペンダントを取り出し。
「このカモミールのペンダント、これで勇気付けられました」
ミリアは言った。
アンゼシカ(真美)はペンダントを眺め………。影から見ていた為、知っているのに言えないのは辛いけど我慢するしかない。ある意味、彼女には知られてないか心配だ。私(真美)は本来、この物語において不測の事態によって出来た存在であり、本編には従わないといけない。
「綺麗な花をしたペンダントだね?」
アンゼシカ(真美)のセリフに、ミリアは………。
「カモミールには、仲直り、友情の花言葉がありますと教えてもらいました。」
「ロマンある花言葉だね………」
アンゼシカ(真美)は言う。
「そして彼女、クリスティーナさんに怒られました。お姉様、失敗を恐れてはいけません。お姉様の大切な人との絆はその程度だったのですか?って………。その言葉に、私は決心しました………」
ミリアは言った。
「良い言葉だ。彼女には感謝しないとね………」
「はい、感謝してます。それで今、こんなにラブラブ出来ますからっ」
ミリアはいつものノリで、アンゼシカ(真美)の腕を組み、自慢の乳房を当ててスリスリと溺愛。
「それは………私も嬉しい限りだよ、ウム………」
ミリアのアプローチに困惑するアンゼシカ(真美)。
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