第303話 謝肉祭(カーニバル)にある兄妹
「凄い人混みだな?………」
中央の大通りにて、1人の少年貴族は辺りを眺める。謝肉祭により、ゴチャゴチャとした人々の賑わいに、驚きを隠せない。
「兄様、あまりキョロキョロと眺めていたらみっともないですよ」
隣にいる少女貴族はしっかりとした指摘。
少年、少女の正体は、カイエン家の貴族。兄はアルフレッド、妹はクリスティーナ。彼等はヨハーソン邸のパーティーに参加した貴族であり、一度、中央都市の謝肉祭を観光したいと両親にお願いした所、承諾された。
「お前こそ、迷子にならないようにな………迷子になって、何処かに売られてしまったら………」
と、アルフレッドの後ろ向きな言葉に、妹のクリスティーナはムスッとした表情を浮かべ………。
「兄様は考え過ぎです。そんな考えでは、謝肉祭を楽しませんよ」
クリスティーナは言った。
「これだけ人が多いと、俺でも迷うなぁ………よかったら手を繋ごうか?」
アルフレッドは言う。
「誰だ兄様と手を繋ぐものですか………私も、そんな年頃ではな………わ、美味しそうな食べ物ッ!!」
クリスティーナは、とある飲食系の屋台にダッシュする。
全く、まだまだ子供だな………と、少し呆れた表情でアルフレッドは軽い足で妹の後を追いかける。
★★★★★★
「おいひぃ~~~」
妹のクリスティーナは、屋台で購入した牛肉の串焼きをパクパクと頬張っていた。ジューシに焼けた串焼き、そして特製ソース。
「お前って、そんなガッツリした物、好きだったのか?」
アルフレッドは、紙コップに入ったフルーツジュースをストローで吸い、尋ねる………。
「あ、次はあの食べ物、美味しそーーっ」
またしても飲食系の屋台にダッシュするクリスティーナ。今度はスイーツ、チョコレートでコーティングされたワッフルだ。甘い香りに、まるで匂いに誘われたミツバチのように、ブンブンブン………。
そしてクリスティーナは、チョコワッフルを2つ購入して………。
「おいひぃ~~~ですわぁ~~~」
モグモグと食べるのであり、それは幸せな気分に支配されてしまいそう………。
一方のアルフレッドは、お茶味のアイスクリームを落ち着いた様子で食べながら。
「お前、喰ってばかりだな………そんなに食べたら栄養がな………」
と、妹を心配するが………。
「お兄様、私はこう見えても栄養管理はしっかりしてますの。今日は謝肉祭、今日くらいは好きに食べても、いや謝肉祭だからこそ、神様を讃える為に楽しまなくてはなりません。なので、バチは当たりません」
クリスティーナは胸を張って主張。
「あら、あなた達は………」
2人の元に、ある人物達が駆けつける。
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