第2話 転生したら悪役令嬢
───ここは………。
私が目を覚ました場所、そこはまるでファンタジー風、貴族の部屋だった。キラキラした装飾品が壁に飾られ、やたらデカいシャンデリア。高級感漂うカーペットが部屋全体に広がり、自分が住んでいた部屋より広い。
ぼんやりした感覚、頭を整理しようとする。
──確か、横断歩道に入ってそこで車に衝突して、私は………。
そして自覚する。
「ハァ………ハァ………ハァ……」
気持ちを整理したら、恐怖が自身に行き渡り、ブルブルと全身の震えが止まらない。思い切り車に衝突して死んだのだ。何故、生きているのか、何に自身の命を繋ぎ止めたのか……もし、繋ぎ止めている(何か)が、千切れたら、自分は………。意味不明な状況に私は混乱している。
高鳴る鼓動、少しづつ、少しづつ………。
1分、2分、3分………私は息を整える。気持ちは落ち着かないが、ふと自分の両手を眺める。
「何だコレは………」
明らかに自分の両手ではない……。分かるのは自分の両手は少し太い。しかし、今の両手は優雅な女性のようで世の女性達が憧れるように細い。少し、力強い感覚はあるが……。思わず私は、近くにある高級そうな鏡台に急いで駆け寄り、自分の顔を確かめる。
「何よ?コレ?」
私は言葉を失った。何故なら鏡に映るのは自分ではない。流れるような深紅の長髪、泣きぼくろの女性騎士。重厚なマント、袖無しの鎧、軍用スカート、軍用ブーツ。
アンゼシカ・ヨハーソン。確か、──MIRIA──追放王女と4人の仲間達に登場し、主人公兼ヒロインを城から追放した悪役令嬢。最期は物語の進め方によるが、ラスボスとして主人公に立ち向かい、敗北して死亡する悲劇のキャラクターだ。
私はカタカタと震え。
嘘でしょ……私は……。
何と私は、車に衝突して死亡して、ゲームの悪役令嬢兼ラスボスに転生してしまったのだ……。
───ゴン、ゴン……。
ドアのノックの音が室内に重く響かせる。
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