第295話 謝肉祭(カーニバル)
中央都市アフタヌーンでは年に一度の謝肉祭が開催されていた。都市が設立されて250年記念、今年は王国東部における軍事活動、反民族支配主義によるテロ、そしてホセ公爵の逮捕、最後は怒った一部の国民が王族に対する物資の献上拒否などが問題が起こったが、今年も各地方から多くの人々が訪れるのである…………。
★★★★★★
大通りには様々な商品を販売する屋台が並び、大道芸人のジャグリング、人形劇を披露する劇団員、マジックショーを披露するマジシャン。それらを見物する観光客で賑わい、活気に湧いている。
(そうか、今日からは謝肉祭が開催されているんだ………)
アンゼシカ(真美)は辺りを眺めながら大通りを歩いていた。昨日の夜、明日は謝肉祭が開催されると分かっていたハズだったが、7時間後とは思えない程の膨大な時間を過ごしてきたような感覚があり、何故か忘れていた。
───すると………。
「何を考えているんですか?マスク・ド・a様?」
ミリアはアンゼシカ(真美)の腕を組み、左手の指で彼女の頬をツンツンと突いて尋ねる。いかんせん、1人で謝肉祭を散歩しようとしたが部屋で捕まってしまい、付き合っている。本人曰く、デート気分らしい。
「これはすまない、私は賑やかな場所は初めてでな………。つい、目の前の興味に目を奪われてしまったのだよ………もちろん、君も含めてね………」
「マスク・ド・aさまぁ~~~~…………」
ミリアはデレデレと喜び、アンゼシカ(真美)の腕を組み、溺愛。
ま、終わった事ではあるし、取り返しのつかない事態ではなさそうだし、深くは考えるまでもない………そんな感じがしたからだ。
デレデレと私の腕に組み、乳房を当てながら溺愛してくるミリアを見て、アンゼシカ(真美)は思う。
───せんぱい、おはようございますっ。
(何か、懐かしいノリだな………絵葉を思い出すわね………)
ミリアの姿、それは後輩の中谷絵葉の姿と重ねてしまう。彼女も同じく私にデレデレと溺愛してきて、よく振り回されたモノだ。一緒に通学したり、昼は屋上でランチ、下校はいつも一緒だった。あの子、元気にしているかな………と、しんみりと思い浮かべてしまう。
「マスク・ド・a様、あの店に行きましょ」
アンゼシカ(真美)の腕を引っ張るミリア。
───せんぱいっ
アンゼシカ(真美)はミリアを見ていたら親愛なる後輩の絵葉の面影と声を思い出し、懐かしさにポロッと涙が頬を湿らせていた。
「マスク・ド・a様、どうしたのですか?」
ミリアは心配な様子で尋ねる。
「すまない、君を見ていたら昔の友達を思い出してな………」
「昔の友達?」
「いずれ、君に話そう。さ、謝肉祭を楽しもうっ」
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