第294話 帰って来た世界、久しぶりの彼女
「ハァっ……………」
安宿の部屋のベッドにて、アンゼシカ(真美)は夢から覚めた…………。一体、どれほどの時間、寝ていたのだろう?時計を見ても朝の6時、寝たのが夜の11時だとすれば7時間は寝ていた事になるが、7時間とは思えないほど長い時間に感じた………。そして何か重要な事を成し遂げ、元の世界に帰って来た………と、言う感覚にもなる。
起床して、数十分…………。
───しかし、今は何もする気も起きない………。
ベッドで仰向けになり、天井を眺める私(真美)。ふと何かを思い出そうとしたら瞳からポロッと涙がこぼれ落ちる………。何の夢を見ていたか覚えていないが、それは何処か懐かしく大切な人と別れたような感覚だ。
「何だ?………」
ポケットに何か違和感、アンゼシカ(真美)は右手をポケットに入れて違和感の正体を取り出す。
それは小洒落たロケットペンダント、かつて私(真美)が現実世界で生きていた頃、ゲームセンターのプリクラで一緒に友達と撮った写真が取り付けられている。真美と、その隣には後輩の中谷絵葉。
「絵葉っ?………」
何で昔に撮ったプリクラ写真が………アンゼシカ(真美)は舞踏マスク越しの瞳から涙。ロケットペンダントにも見覚えはないが、何でプリクラ写真がポケットにあるのか………ま、考えても仕方ないかな………。
「う~〜〜〜ん」
「おや?」
聞き覚えのある声、まさかとは思うが………と、アンゼシカ(真美)は視線を向ける。
「ふあぁ~〜〜…………あ、マスク・ド・a様、おはようございますぅ~~~」
正体はミリアだった。寝ぼけ眼の表情、眠い瞳をゴシゴシと擦り、起床。
「どうして君がここにいる?」
アンゼシカ(真美)は尋ねる。何で?今までバレなかったのに、何で彼女がここが分かった?。
「昨夜、マスク・ド・a様をビックリさせようと思って、後を付けて宿屋の入り口からこっそりと忍ばせて頂きました」
ミリアは普通に答えるのである。普通にストーカー行為のような気はするが、もう追求はしない。
「ハハハハハハっ…………」
アンゼシカ(真美)はミリアの溺愛クセに困惑して苦笑い。いつかは彼女に住処を特定されてこうなると思っていたが、来てしまったようだ。偶然、舞踏マスクを着用したまま寝ていて良かった。
そしてミリアに正体がバレなくて良かった。
「じゃあ、マスク・ド・a様。おはようの挨拶を………」
アンゼシカ(真美)に唇を突き出し、キスの体勢を整えるミリア。
「それは………勘弁してはもらえないか」
アンゼシカ(真美)はやんわりと否定。
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