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第293話 帰るべき世界、そして別れ………。



  



───試練を乗り越えし者よ、光の球を受け取ると良い…………。


 光の球の声は、真美に促す。


「はい」


 決意ある声で返事。そしてアンゼシカ(真美)は涙を拭いて光の球の元に歩み寄り、両手をかざした。


 光の球はアンゼシカ(真美)の掌に包み込まれ、そして身体と同化するように消えた。これによってDiablosディアブロスとの最終決戦においての必須要素が手に入り、乗り移っているミリアから奴を切り離す事が出来る。


───それでは、試練は終了とする………。


 光の球は冷淡な言葉で終了を告げ、役目を終えたかのように漆黒の空間から消えた。


 するとアンゼシカ(真美)の全身に光の粒子がが発生し、空中にフワフワと浮かび上がる。少しづつ、少しづつ………自身が本来、帰るべき所に戻るのである。


「せんぱい、お別れです………」


 絵葉えばは手を振って見送る………。するとアンゼシカ(真美)は涙を流し、フワフワと浮いた状態で絵葉えばの手を掴み、急ぎの声を響かせる。


「せんぱい?………」


 アンゼシカ(真美)は叫ぶ。


「アンタに伝えたい事があるのっ………私はアンタの事は親友として好き。私はもう、かつて生きていたあっちの世界では生きる事が出来ないけど、私が今いる世界では、かつてのアンタと同じくらい心配な子がいてッ!!」


 聞き入る絵葉えば。アンゼシカ(真美)はさらに叫ぶ。涙を流して、全てを訴えかけるように。


「その子はアンタに似ていて、普段は元気な子でいつも私にデレデレして来て、たまに失敗して落ち込んだりする事もあって…………」


 消えゆくアンゼシカ(真美)は、これまで歩んで来た全ての思いの言葉を必死に伝える………。笑みを浮かべ、黙って聞き入れる絵葉えばにアンゼシカ(真美)は感情的になり、さらに思いを伝えるのである。


「その子には呪いが宿っていて、今も苦しんでいるのッ!!私はその子を、世界を助けたいっ」


 アンゼシカ(真美)は必死に訴える。自分が消える前に………元の世界に戻ってからはこの試練の記憶すら消えてしまう。忘れてしまう前に、絵葉えばに全てを………。


 絵葉えばは、真美のセリフに納得するかのように微笑みを浮かべて頷き、ポロッと涙を流す。


 アンゼシカ(真美)は空中の上昇により彼女との手が離れ、絵葉えばに向かって手を伸ばして………。


「だから………私は帰るべき世界に帰らなければいけない、アンタと過ごした日々の事は絶対に忘れない。ありがとう絵葉えば、さよならッ!!」

 

 アンゼシカ(真美)は空間から消え去り、今を生きる世界、責務を果たさなければならない世界に帰って行った………。


───私も、せんぱいの事は忘れません………せんぱいは、今を生きる世界で生きてください。私はせんぱいのいる世界にはいけませんが、大切な人達と一緒に頑張って下さい………。


 絵葉えばは振り向き、漆黒の中を歩いて立ち去るのである。





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