第274話 真の試練Part29
その後、6限目の授業を終えて帰路についていた。しかし、今日の帰りに絵葉はいない。新しい友達が出来たのだろうか…………それはそれで、嬉しい気持ちになる。私から卒業して新しい学生生活を送れるのだから………。1人の下校、隣にいない絵葉、通学路が広くそして静かだ………。
真美はいつもの住宅街の通学路を歩いていた。
(上履き、持って帰って来てしまった………)
私(真美)は、ゴミ箱に入っていた絵葉の上履きを眺めていた。
上履きのゴムヒモが切れたから、変えてもらったのですよ………。
屋上にて、一緒に昼御飯を食べていた時の絵葉の言葉が思い浮かび、私(真美)は思わずグッと拳を握り締め、険しくなる。
(違うじゃない?ゴムヒモなんて切れてないじゃない………)
真美は、絵葉の上履きを眺め、何処か腹が立つ気持ちになる。ウソをつかれたから?何かを隠していたから?黙っていたから?………。
───せんぱいっ
真美の頭に、絵葉の笑顔の表情が浮かび上がる。
(かんけい、ないから………)
私は拳を握り締め、言い聞かせる。
───せんぱいは猫と言うより、捕食されるネズミのようですっ
絵葉と一緒にいた時、何気ない会話を思い出す。
(…………)
───せんぱい、プリクラを一緒に撮りましょうっ
学校の帰り道、寄り道で絵葉と一緒にゲーセンに行って、一緒にアイスクリームを食べて………。
(友達なんて、最後は裏切るのだから………)
───せんぱいっ………。
色々な思い出が浮かび上がる。
★★★★★★
───晩御飯後、部屋でゲームをしていた。
いつものように静かに………すると真美はスマホを眺め、絵葉からの連絡を確認する。
(連絡はないか………)
真美はスマホを横に置く。しかし、今日の絵葉の出来事が過る。
いつものテンションじゃない絵葉、上履きの違和感、そして下校時が一緒ではない。
(聞いてみようかな?………)
真美はスマホを持ち、絵葉に問いただすかどうか迷っていた………。しかし、今日の出来事を尋ねても彼女は答えてくれるかどうか分からない。
(ただ、聞くだけなのに………)
真美が手に持っているスマホが迷いで震える。これを聞いたら、何故か今までの楽しかった日常が崩れ去りそうな………そんな怖さが気持ちを迷わせる。けど、そうすれば彼女は自分(真美)を卒業して、新しい友達を見つけるだけだ。いずれ裏切られるからと思った私、それは願ってもない事だ。
明日にしよう………明日、アイツ(えば)に聞いてみる事にしよう………。
そうやって仲違いになり、1人ぼっちに。一人ぼっちは慣れているから大丈夫だ。
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