第262話 真の試練Part17
ゲームセンターを出てから真美と絵葉はアーケード街のベンチに座り、2人はアイスを並んで食べていた。
───真美は思い浮かべる。学生時代、友達とゲーセンでこんなに遊んだのはいつぶりだろうか………。
(別に、暇だから付き合っているだけだから………この子が友達が出来るまで、それまで私は………)
真美は言い聞かせる。あくまで私は練習台、それが終えたらまたボッチな日常に戻るだけだ。
真美は自分のアイスに視線を向ける。
「アンタは何、人のアイスを食べているの?」
「だって、せんぱい。考え事をしているからいらないかと思ってぇ………」
絵葉の言葉に真美は………。
「あ、私のアイスがっ」
真美にアイスを食べられる絵葉。
「これでおあいこよ」
真美は口をモゴモゴさせる。
すると絵葉は真美の両肩をガシっと掴み、顔を接近させる。
「ちょっと………」
真美は困惑。
ペロリ………。と、絵葉は真美のホッペについたクリームをなめる。
「へっ………」と、真美は気の抜けた声を吐き出す。
「ホッペに、クリームがついていますよせんぱい………」
絵葉は言った。
(パクパク…………)
真美は頬を赤くし、沈黙するのである。ホッペに付いたクリームをなめられ、ドキドキする。
「あれ、もしかしてせんぱい。意識しちゃいましたか?顔、赤いですよ?」
絵葉は悪戯な言葉。
「まったくアンタは………」
ムスッとなる真美。
「ホッペの次は、口の中にある私のアイスを取り戻すのみ………」
絵葉はキラリと瞳を光らせ、獲物を狙う目で真美を見つめる。
「えっ?何言ってるの?」
口の中にあるアイスって………。真美はベンチから立ち上がり、後退。そして絵葉も同じく立ち上がり………。
「いやぁ〜〜〜」
「よいではないか。よいではないかっ」
真美を追いかける絵葉。
───そして。
2人は並んでアーケード街を歩いていた。
「ハァ………」
真美はタメ息。アイスを食べていただけで、何か疲れる。
すると絵葉は口を開く………。
「せんぱいって………」
「何?」
「困った表情や怒った表情が、かわいいです」
絵葉は言った。
「かわいいって………もうアナタは年上をおちょくるのはね………」
冷静な姿勢の真美で指摘。すると絵葉は………。
「やっぱりかわいいです。せんぱいっ」
陽気に抱きつく絵葉。
まったくこの子は………。と、真美は抱きついてくる絵葉に緩やかな笑みを浮かべる。けど、忘れてはいけない、私はこの子に友達が見つかるまでの練習台。この子がいつか私の元を離れる事、また一人ぼっちに戻る子も覚悟しなければならない。




