第260話 真の試練Part15
午後、5時限目は数学の授業。
(私の神聖なる休憩時間が…………)
真美は授業の内容をノートに書きつつ、心の中で愚痴る。1年生の頃はいつもなら屋上でボッチのランチをして、空を眺めながら自分の世界に浸るのだが………。しかし、1人のエキセントリックな後輩により、それは打ち壊された。
せんぱ〜〜〜い、せんぱ〜〜〜い………。
頭の中、アイツ(えば)の声が響き渡り、うるさい。
(はやく友達を見つかるから、それまでは我慢よ………)
そう言い聞かせる。
───しかし、昼休憩が1人じゃなかったのは何時ぶりだろうか………。中学生の頃、かつて親友だった子と一緒に昼休憩を過ごした思い出が浮かび上がる。あれは懐かしいし、それなりに楽しかった。しかし、どんなに楽しい思い出を過ごそうが、時間が経過すれば変化してそれはウソになる………。
(ま、一人ぼっちは慣れているから………)
真美は再び言い聞かせ、一人ぼっちを自分自身に正当化させる。
「山瀬、この公式を答えてみなさい」
先生は言ってきた。
「はい………」
真美はスラスラと問題を答える。聞いていないと思っていたかも知れないが、問題はちゃんと聞いている。
★★★★★★
───下校時、真美と絵葉は、二車線の道路ね通りを歩いていた。校門を出ようとした所に絡まれ、2人で寄り道をする。いやさせられると説明してもよい。本当はボッチで寄り道はしたいが、その日常は突然にして、破壊されるのであった。
すると絵葉は口を開き、話しかける。
「もしかしてせんぱい、授業中は私がいなくて寂しかったんですか?」
「寂しくない」
真美は言った。
「またまたぁ~~~………。私は………さみしかったですよ……」
「えっ?」
真美は途中で小さく呟く絵葉の本音の言葉に反応。
「何でもないですよっ。さて、行きましょう。せんぱい、ゲーセンに行きましょうっ!!」
(あ、ごまかした…………)
絵葉はスッと両胸を隠し、恥ずかしそうな表情を浮かべ………。
「もしかしてせんぱい、寄り道をしていてその最中にいかがわしい所に行って一線を?………」
「アホかっ………それはアンタの趣味でしょうがっ」
ツッコミのセリフを吐き出す真美。
「せんぱい、私と出会ってこの短時間ながらツッコミの才能が開花しましたね?」
「誰のせいよ?私も好きでやっているワケじゃ………」
真美は面倒くさい様子でタメ息。コイツ(えば)といたら、エキセントリックな言葉に対して思わずツッコミの一言を入れてしまう。
そんな会話をしながら2人は、アーケード街に足を運ぶのである。




