第251話 真の試練Part6
家に帰って来た真美は学習机に座って(魔法図書館の妖精少女)を読んでいた。
───じっくりと、しっかりと内容を理解して物語の雰囲気に浸る。もし、今の状況で誰かに話しかけられても、絶対に反応はしない。私(真美)は1つの事になると集中する性格である。
ストーリーはこうだ。閉鎖寸前の魔法図書館に訪れた主人公の青年が図書館に住み着いている妖精少女と出会い、人間関係に疲れた18歳の主人公の青年が、3つ年下で活発な妖精少女との恋愛物語である。人生において人間関係に疲れた青年は、初めは人の事を考えずに接してくる少女の事を疎ましく対処していたが、次第に青年が少女の心に惹かれていき、恋愛に発展する。
流れるような内容、そして引き込まれるような文章表現に、真美はページを開いていく………。人間関係に疲れた立場なら、私と一緒だから感情移入しやすい。
(妖精少女、可愛いな…………)
次のページを開く真美。
───しかし、図書館閉鎖になれば少女はこの世から消滅してしまう。と、告白されて主人公は図書館の閉鎖を食い止めようとするが、それは叶わずに閉鎖が進められ…………。
君の事は、絶対に忘れないからっ!!
消滅する最後にアナタと出会えて良かった………。
2人は涙を流し、誰もいない夜の図書館のホールで熱いキスを交わしてその後は…………。
(うわぁ…………)
その次の攻めた出来事に………思わず顔を赤くする真美。その次の攻めた出来事の表現についてはアニメでは描かれない。いや、描けないと言っても良い。
パラパラとページを開く真美………。情熱的な2人の行為に、中毒のように開くページが止まらない。
───そして………夜が明け、誰もいないホールにて青年は目を覚ます。
エレイン………。
青年は消滅した少女の名前を吐き出す。少女から授かった思い出のネックレスを握り締め、溢れる涙を流すのである。閉鎖された魔法図書館を後にして、青年は新しい人生を歩んでいく。
さよなら、エレイン………。
彼女との出会いによって、自分も前に進まなければいけないと決意する…………。
その後………エピローグのページを開く真美。そこの話は物語から2年後の世界だ。とある大衆酒場にて、カウンター席でフルーツ酒を飲む青年。ゴチャゴチャした店内に、1人の少女が青年が座るカウンター席に駆け寄り、尋ねる。
「あの、ケビンさんですか?………」
聞き覚えのある少女の言葉に、主人公の青年のケビンは振り向き、そして物語は終わる………。
(前に進む………か)
真美は物語のラストに感極まり、ポロポロと涙を流していた………。




