第240話 クリス・ヨハーソンの遺書
───10年前………。
ヨハーソン家は過去、王族の騎士職に就いていた。
しかし、親しい友人である国王陛下の独裁や親しい部下を謀略により殺害された事により、初代ヨハーソン公爵家当主のクリス・ヨハーソンは騎士職を離れた。この過去は2代、3代、4代の子孫達にはあえて伝えず、歴史の闇に封印した………。
表向きは、王国と無縁に生きて欲しいからだ………。
───しかし………かつてクリスが使っていたであろう古い書斎にて、娘のアンゼシカが(クリス・ヨハーソンの遺書)と記された古い封筒が本棚から床上にヒラヒラと落ち、発見した。
(何コレ?…………)
まるで運命のように………15歳のアンゼシカは導かれるように古い封筒に手を伸ばし、発見した。封を切り、アンゼシカは内容を読んでみて………。
「父上っ!!」
アンゼシカは走り、父上の元に向かう。
★★★★★★
内容はクリスとレオナルドとの関係。そして大陸西部の統一と王国建国時代の話だった。
「これは………」
40代前半のホセは手紙を読んで驚愕した。
この手紙を見たら私はこの世にはいないであろう………。しかし、このままでは王国は、世界は悪魔Diablosに滅ぼされてしまう。私の頼みは、悪魔に支配された最愛の友であるシュバルツ家を救って欲しい。私はもうすぐ死ぬ、この私の悲願を受けるのは自由だ。もし、悲願を受けないのであれば、この手紙は燃やしてくれ………。
クリス・ヨハーソンより。
★★★★★★
───〈ホセ公爵の私室〉───
「先代からはこんな話は聞いた事がない………」
ホセは手紙を何度も読み返し、考える。今の王国は独裁的であり、逆らえば死刑は免れない。公爵貴族として、家族や領地を守らなくてはいけない。
すると………。
「お父さま………」
部屋に入って来たのは娘のアンゼシカ。表情は決意の瞳、そして父の元に歩み寄って(あること)を話すのである………。
「何だとッ!!」
ホセは、アンゼシカの言葉に驚愕した。
「私、王国軍の兵士になります。そこで私は今の陛下を引きずり出し、国を変えます」
「バカな事を言うなッ!!そんな事は危険過ぎる、俺はそんな危険な事を断じて認めないッ!!」
「父上、このまま放っておけば王国や世界は例の悪魔に支配されてしまうのでしょう?世界を救うために、行かせて下さい」
「ダメだ。もし、陛下を引きずり出しても、悪魔はお前に乗り移る可能性もある」
「その可能性を利用するのです。悪魔を私に乗り移らせて、別の人間が倒す。それが唯一の方法です」
アンゼシカは言った………。




